地球温暖化など地球変動研究の緊急性
(1)「急激な気候変動」の解明
現在の大気中二酸化炭素の増加は、地球の過去の歴史の中でも急激のものである。
グリーンランドの氷床データによると、氷期に数十年で数度以上という急激な気候変動が繰り返されている。これが全球的な変動であったのか?間氷期にも起こりうるのか?急激な人間活動の拡大によって引き起こされうるか否か?・・・これらの疑問に答えることができれば、人類社会が地球温暖化対策に効果的に取り組んでいくうえで極めて大きな便益を生む。
ライザー掘削は、急激な気候変動が記録された堆積層にしばしば存在する石油・ガス層を超えた掘削や、海底扇状地など崩れやすい地層での大深度掘削を可能とする。このため、従来型掘削船との2船体制は、急激な気候変動の全球的な姿を明かにする最も有力な手段であり、地球温暖化が進行しつつある今こそ、本計画の推進を急ぐべきである。
(2)地球規模問題への貢献
地球温暖化のみならず、人口爆発と消費の急増などの問題を乗り越えていくためには、大量消費社会から持続可能性を重視した社会への転換が不可欠である。
これは長期的には「いずれにしても後悔しない政策」(必ず便益を生み出す政策)であるにも関わらず、短期的には先進国と途上国の間、国内の既存産業との間で利害衝突を伴うため、不確実性が高いことを理由に対策の着手又は強化が先送りされる傾向がある。こうした対策の遅れは、その後の対策をますます困難なものとする。
本計画は、人々の視野を過去に広げることによって、未来への視野をも広げ、長期的視点に立って地球規模問題に取り組むことを促すものである。このため、地球規模問題に対する将来展望を明かにすることが求められている今こそ、本計画の推進を急ぐべきである。