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(1)急激な地球環境変動の復元と変動メカニズム

一万年より以前には数年〜数十年で数度C以上も気温が上昇する現象が繰り返されてきました(図4)。特に地球軌道要素の状態が現在とよく似ている約40万年前の間氷期には現在よりも暖かい気候モードが存在し(図29)、その時は西南極大陸氷床が大崩壊を起こした可能性があります(図30)。このような急激な温暖化又は寒冷化(気候ジャンプ)のメカニズムを解明するためには、堆積速度の速い縁海や大陸周辺部での掘削が必要です。そのような海域は炭化水素の存在や脆い地層が従来法による掘削を妨げていました。このため、ライザー掘削が期待されています(図28)。

堆積物コアを分析することによって氷床コアなどからは得られない表層及び底層の水温、海洋大循環の強さ、生物生産力、氷床の崩壊、海面高さの変動などの情報が得られます。これは、氷期や間氷期に繰り返された急激な気候変動の原因解明に寄与します(図31)。二船体制での分担によって全球的な気候復元が効率的に達成できます(図32)。

 

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図28 急激な地球環境変動の復元と変動メカニズムの解明

 

 

 

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