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知見の一例として、この分布図は、利用可能なエネルギの見地から英国及びアイルランドが波エネルギ利用に適しているということを明確に示している。カナリー諸島付近では25MW/kmであったエネルギレベルは、アイルランド/スコットランド近辺では75MW/kmに増加する。アイルランド/スコットランドの北大西洋側近辺では、冬期の平均は年平均値のおよそ2倍にもなる。これらの国々では、他の季節より冬期に多くのエネルギを必要とすることから、波エネルギ供給量の年変化は、必要とするエネルギの年変化に合致する。

この分布図は工学的見地からも興味深い貢献を与えるものである。

 

6. 個人的感想

OMAE'98は立派に組織された大きな国際会議であった。そして、リスボンはこの国際会議参加者にとって楽しい都市であった。発表者(時にはセッションのチェアマン)が現れないとかの不可避の問題もあったが、全般的に見て、セッションは十分な緊張感をもって行なわれたと共に、示された会議の予定に従い、開始され、そして、終了した。

私は、主として「海洋技術及び海域利用(Offshore Technology and Ocean Space Utilization)シンポジウム」のセッションに出席した。私自身が発表した7月9日のセッションを含め、ほとんどの海洋技術に関するセッションで興味深い討論が行われた。しかし、海域利用についてのセッションの多くは、比較的活気がなかった。例外は波エネルギのセッションで、ほとんど全ての発表毎に活発な長い討論が行われ、どの発言者も熱狂的であり、かつ、良く事前の準備がされていた。

 

7. 参照資料

*1 : Salter, S. H., "Wave power", Nature, v. 249, pp. 720-724, 1974

*2 : Masuda, Y., "Experiences with wave power generation through tests and improvement", Hydrodynamics of Ocean Wave Utilization, D. V. Evans and A. F. de Falcao (eds.), Springer-Verlag Berlin, pp. 445-452, 1985

*3 : Linton, C. M., "Radiation and diffraction of water waves by a submerged sphere in finite depth", Ocean Engineering, v. 18, n, 1, pp. 61-74, 1991

*4 : Thorne, R.C., "Multipole expansions in the theory of surface waves", Proc. Camb. Phil. Soc., v. 49, pp. 709-716, 1953

*5 : Ursell, F., "On the heaving motion of a circular cylinder on the surface of a fluid", Q. J. Mech. Appl. Math., v. 2, pp. 218-231, 1950

*6 : Evans, D. V., "A theory for wave-power absorption by oscillating bodies", J. Fluid Mech., v. 13, pp. 157-187, 1976

 

 

 

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