従来の定格100kipsワイヤラインテンショナーを使うと、最低限25基のワイヤラインテンショナーが必要になる。しかもこれには故障時の余裕分は含まれていない。
故障の可能性を考えると、少くとももう1ペアが必要である。
将来のありうるべき要求(より重いライザーさえ使うこと)を考慮に入れると、基数はさらに多くなる。
大きなサブストラクチャーでさえ、それが実現すると、狭くなるだろう。
また、ライザーを降下・揚収する時のフックアップやディスコネクト時間は、多数のテンショナーがあると長くなり重要な問題になるだろう。
それで、ワイヤラインテンショナーの代わりに、6基の400トン容量直接型テンショナーシリンダーを選んだ。
このテンショナーは、Tension Leg Platform(TLP)で孔井仕上げライザー用に使われた類似設計を発展させたものである。
TLPテンショナーでは、ストロークの設計は10'未満だが、Discoverer Enterpriseテンショナーのストロークは50'になる。
Discoverer Enterpriseが、このサイズのテンショナーを最初に採用することになる。
全引張力は、ライザーコネクターの定格強度2.5百万ポンドのほとんど2倍である。
典型的なオペレーション時の引張力は、メキシコ湾用でのもっとも普通の泥水比重に対して1.4〜1.8百万ポンドである。
2.1百万ポンドの引張力は、7,000'水深で泥水比重が17.0ppgの場合必要である。
デリック吊り具に加わるライザーロード
7000'水深用のリグの設計では、最高750トンデリック吊り具を備えている。
Discoverer Enterpriseでは、10,000'水深で1,000トン必要であった。
ライザーの静的荷重は、ライザーが3,000'延びても浮力材を付けるので、劇的に変わらないが、動的荷重は非常に増加する。
ライザー揚降中の全動的荷重は、それはストリングのヒーブと急激な停止の組合せから成るが、500kipsとなり、それが10,000'ライザーの静的重さ1500kipsに加わる。
かくして、デリック、吊り具、ロータリーテーブル等の容量は2000kipsになる。
クラウンコンペンセータは定格1000kipsを補償し、クラウンブロックは2100kipsの吊り下げ能力がある。
ライザー長さが増大するにつれ、質量は増大し、バネ常数は減少する。
10,000'水深では、ライザーの固有周期は有義波高10'の波エネルギーのピーク周期に接近する。