さらに、もう少し機能別に分けて、海洋、外洋、沿岸、陸域等で、それぞれのヘクタール当たりの価値の値段を見積もっています。それを地図に落とした図では、色が濃い方が非常に高いサービスをしてくれていると言えます。自然の生態系というのは非常に大きなサービスをしてくれる、ということを物語っています。
■市民環境科学:実態調査→対策
最後に、私たちはこういうことに対して、人間と自然との関わり、自然を客観的に取り上げて、実態を明らかにして、将来の予測をし、対処することが大事だと思います。
そのひとつの事例として、小島さんは、散乱ゴミを拾って、その実態を調査して、対策まで考えていくことを提案されています。
私は水質というひとつの事例を挙げます。簡単に水質を測定できる方法ができまして、そのネットワークが大変広がってきました。ネットワークの広がりの意義にはいくつかあって、ひとつは、水質汚染の監視、モニタリングができる。それから、汚染の実態を自ら知り、その対策を考えるきっかけとなる。科学に興味関心を持つ素人科学者を誕生させる。各地に続々と科学者が誕生してきたわけです。
こういうものに簡易測定法の普及が非常に大きな役割を果たしてきました。今のは水質の例ですが、ゴミでもそうだと思います。市民ひとりひとりが行動を起こすために、科学的な根拠のもとに実態を調べて、その対策を考えていくことが、いわゆる「市民環境科学」というものではないかと思います。
環境を自ら測定し、実態を認識する。環境問題を広く考えて、そのための実践活動に結び付ける。地域の環境問題から、さらにグローバルな地球環境を考えて、かけがえのない地球を守るという意識につなげていくということが、市民環境科学の意義ではないかと思います。
■図2.6.1 市民・行政・事業者・専門家的共同・協力
では、実際にどうやって仕組みを作っていくか?
先日中国でこういう仕掛けをしてきたのですが、四つ葉のクローバー(市民、行政、事業者、専門家)で表してみました。市民、行政、事業者、専門家が共同・協力することによって、身近な環境を見直し、よりよい環境をつくっていくことにつながっていくのではないでしょうか。
このようなお話で、十分にまとまりませんでしたが、私の話題提供とさせていただきます。