ケビン・ショートさんのお話は本当に身につまされるような気持ちで聞いておりました。
ちょうど10年前に北海道の漁業の母さん方が、昭和63(1988)年6月、一斉に立ち上がりました。今は1万7千を割りましたが、当時2万人の漁協婦人部の母さん方がいました。その母さん方が7万本ほど全道に植えました。120の漁協があり、その母さん方すべてが(それぞれの事情により、形は違いますが)参加して、スタートしました。「お魚殖やす植樹運動」という名前を付けて始めたのです。ちょうど今年で10年が経ちました。今日はその一端をご報告いたします。 <以下、スライド併用>
このような形で永々と、まだ10年しか経っていませんが、やっています。木杭を立てているのは、日高のコンブ地帯の母さん方、様似町の冬島という地の母さん方です。アポイ岳があるところの冬島の母さん方です。100人〜200人の部隊でやります。
「母さん方に日当はどれくらい出しますか?」とよく聞かれますが、そういうものは一切なく、母さん方のボランティアでやっています。
<スライド終わり>
1本から始めて10年経った今年、集計したら40万本強になりました。昨年36万本に達しました。
どの都道府県にも漁連(漁業協同組合連合会)はありますが、北海道だけに指導専門の団体である県漁連があり、私はそこの職員として30数年「おかまわり」の仕事をして、漁師さんをお手伝いしています。一生懸命母さん方とやった植樹運動の集計をしています。それを皆さんに知らせて、こういうふうにしよう、ああいうふうにしよう、ということを、ずっと私が真ん中にいて、お手伝いしてきました。
全道の母さん方とともに、漁協は大なり小なり参加しています。昨年は36の漁協で組合長が先頭になりましたが、今までは母さん方が「やるよ」という形でしていたのですが、最近は父さん方もするようになってきました。そうすると、町も村も町長さんも一緒になってやりましょう、という形に変わってきています。今は植樹運動を春から(秋植えというものありますが)まちぐるみで、魚のために森づくりをしよう、という雰囲気が普通になってまいりました。母さん方の地道な取り組みが、そういう雰囲気を北海道全域につくっていったのです。
10年ぐらい前に、東京に初めて呼ばれ、この北海道の取り組みを「発表しなさい」と言われました。女性ばかりがいっぱいいたのですが、私が報告すると、「これは北海道だからできるのでしょう。北海道ではクマがまだ出て、そのクマの横でやっているのでしょう」という意見がありました。その通りですが、北海道だけの問題ではありません。