日本財団 図書館


あるいはひょっとしたら、これは証明されていませんが、海藻の磯焼けという問題、それはいろいろな説が出ていて、私もよく知らないのですが、ケイ酸が川から供給されなくなったから珪藻がふえないとか。珪藻というのは、動物プランクトンの餌、動物プランクトンは魚の食物です。あるいは、ブルボン酸鉄を含む水がダムで沈殿して、海に供給されないから、石灰藻が出てきて他の有用な海藻を追いやるとか。

そのように、ダムをつくることによるアセスメントがどれだけ完全にできるか。それをある程度予想して、そして追跡調査が必要でしょう。それを流域住民が、「ちょっと危険性があって、不明な点はあるけれども、やってみましょうか」というところがあったら、私はやったらいいのではないかと思います。もしそれが日本の国土の生産力を高めるという方向であるならば、金をつぎ込んでもいいと思います。

ただし、そのかわり今、ダムでメチャクチャにしている川のどこか、1県に1本くらいダムなしの川を作って、小規模なシステムのところもモデルケースとしてつくって、どちらがサステーナブルな生活なのかということを比較して、これからの日本をつくっていきたい。だから、試みとしてはありえると思います。

 

■ 総括

 

【片寄】なかなかこの名優たちを挑発していただいたようで、すごく盛り上がったので、ありがとうございました。ここで切ってしまうのは惜しいのですが、予定の時間がまいりました。

今の皆さんから出たような話は、言っては悪いのですが、全部ここ(p.138 図2.5.1森は海の恋人、川は楽しいデートコース)に入っているのです。

大体今日の話は全部私の手の平の上で動いたな、という気がしています。

例えば、左側の上から5番目くらいのところに、「ダム開発 土砂の供給減少」と、ちゃんと今の話も書いています。保水力の問題は、「クローズドシステム」、あるいは「リサイクルシステム」「エネルギー自給型開発」ということも入れています。大体全部、今日くらいの話だったら入ったなという感じで、あらためて私自身の偉さをかみしめているところです(笑)。

これはかなり何年もかかって考えてきてまとめた絵でして、まだこれは途中ですが、かなりいい線まで入っています。

「森は海の恋人、川は楽しいデートコース」という形で私の方の問題提起をしましたが、今日はなかなかすばらしい名優に恵まれまして、非常に実のある話し合いができたという気がしますし、皆さんもたくさんの宿題をもらったのではないでしょうか。

特に一人一人から出た話を集約することはできませんが、柳川の水の堀割を一生懸命やった話の中で、「わずらわしいつきあいというものが必要なのだ」ということを最後に言われました。これは割合面倒くさいことだと思います。環境を守って、しかもみんなが何となくうまくやっていくために、今までのライフスタイルを変えていこうとか、面倒くさいことばかりですが、それをやらなければしようがないということが大体明らかになったのではないかと思います。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION