また効率を重視した近代河川工法は、井堰は邪魔者だということで、川べりに井戸を掘り、ポンプ揚水で電気代を使って、イネを育てるようになりました。そして、井堰は川のふところのような存在で、子どもたちの楽しい遊び場でもありました。このようになつかしい川の姿が次々と消えていくことは本当に淋しいことです。
【田中】常に私は他人に回答を振ってしまっていますが…おそらくそうやって直列的に大切に水を使うということと、大きなダムなどによって一気に取ってしまうのではなく、もっと小刻みに川から小規模な堰堤とかで水を取り入れて、それを有効に直列的に使って、また返すという、小刻みに返すような、集中型の取水でなくて分散型の水の利用の仕方を回復しないと、川の中の水というのは維持できないのではないか?
いったん川から大量に水を取ってしまうと、それが都市あるいは農業で使われて、バイパスをつくってしまって本川に水が流れない集中型は、やっぱり改めていく必要があるのではないかという気がします。もう少し小刻みに使って、川と農業あるいは生活用水はもう少し小さいサイクルで回し、川の中にも水がある状況にしないと、川の中に魚が育たない。育たないとウナギも出てきませんので、鰻丼も食べられない。酒井さんがつくられたおいしい有機米でもって、近くの河川で育った魚を食べることもできない。両立させるためには、もう少し小刻みに使って、両方とも成立させるようなシステムが必要だと思います。
【藤井】私への質問ではないと思うのですが、「なぜこの会場で缶ジュースか?」ということです。私は缶やペットが出るような暮らしはしていないのですが。
実は、缶の内面のコーティング剤から環境ホルモンが出たということが大問題になって、九州にあるグリーンコープというところが、生協でそのようなものは販売してはならじと全量回収したのです。
そのあと、たまたまつい最近、どなたにうかがったかは定かではないのですが、今年の5〜6月ごろ、密かに缶メーカーはこのコーティング剤を替えて、環境ホルモンと言われるものからはずれたものに替えたというお話になっています。でも、安心して飲めるかどうか。70の環境ホルモンと言われているものは、10万種類のたった70ですから、それ以外にも絶対にこのあと出てくるわけで、できればこういう形でない方がいいというのが私の実感です。
それから、私に対して2つの質問があります。
いずれも非イオン系の合成洗剤の関係で、生態への影響や研究などに関する質問です。
それから、地域の生協でも扱っているので、取り合ってもらえないので、どういう方法で取り扱い停止ができるかと。
それができれば滋賀県も全部できているのですが、実態で言いますと、生態系への影響を含めて、先程申し上げましたように国の水質基準にも挙がっていませんので、私たちは今、神戸大学の研究室にお願いして、全国でカンパを集めて自前のデータを集めているところです。あと半年くらいでそのデータが出てきますので、発表しようと思っています。
非イオン系の合成洗剤を含めて、私たちはトータルで化学物質をできるだけ取り込まない暮らしというものをやらないかぎり、化学物質から逃れるという暮らしはできない。ましてや酒井さんのような有機のものが押しやられてしまうような農業の中で暮らさなければならない。ですから、できるだけ私たちが主体的に化学物質に対して「ノー」と言える暮らしを、まずそこのところを作ろうと伝えているところです。