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すると、たくさんのビン・缶があって、ふたを開けて分別しているうちに気分が悪くなり、「これはおかしいぞ」ということになって途中でやめてみたところ、大量に捨ててあったのは農薬だったのです。市民はわかりませんから、それを開けて分別を始めたのですが、たぶんそれを捨てた人もどこに持っていっていいのかわからない、ということがある。全国でも随分のことが起きていると思います。

私たちは先程のケンタッキー州のルイビルのところまでいくか。これは住民だけでもできないし、行政だけでもできない。企業も行政も専門家もこの連係軸の中でしかできないわけですが、全国連係できれば一番いい。でも、今日のテーマのここの流域の中だけでもできれば非常にいいな、と思っています。

それともうひとつ今日のテーマに沿っていうと、川に流しているものの中で、目に見えて手で引き上げられるゴミはまだいいのです。ところが、目に見えない、匂いもしない、そういうものが非常に増えてしまって困るのですが、たまたま蛇口をひねったらわかる部分もあるのだ、という体験を私たちの全国ネットワークのメンバーがしました。

埼玉県飯能市の私たちの仲間が、水道の蛇口をひねったら、泡の出る水が出てきた。泡の正体は何か調べましたら、非イオン系の合成洗剤でした。川に沿ってずっと調べていきましたら、上流にタイヤ工場があり、その洗浄剤に非イオン系を使っていた。

ところで智さん、今、日本の合成洗剤の中で非イオン系が非常に増えているのはご存じでしょうか?もう50%を超えていると思います。非イオン系は日本の水質基準の項目には載っていません。テレビコマーシャルでは「地球に優しい、人に優しい」と盛んにいろいろな俳優さんが宣伝をしていますが、水質基準にないものが人に優しいか地球に優しいかは本当は判断のしようがないわけです。

飯能のメンバーが水道をひねって蛇口から泡の水が出た直後に、私たちは全国のメンバーで、当時の菅直人厚生大臣に向けて、まず全国の家庭および工業の場面で非常に使われている非イオン系について、全国の浄水場でチェックをすると同時に、それを水質基準の項目に載せてほしいとお願いにいきました。

菅さんは非常に反応が早く、厚生省の生活環境審議会の委員会の中にすぐ設置したのですが、そのあと何も動いていない。あとの大臣が何をしているのか、仕事ができていません。どんどん広がっていて、生活協同組合でさえ非イオン系洗剤をたくさん売っていますから、どこを物差しにしたらいいかわからない、というのが今の市民の状況だと思います。

これは先程申し上げたように、浄水場のメカニズムを通しても、下水処理場を通しても素通りで出てしまいます。そういう処理で止まってしまうもの、キャッチできるものはいいですが、素通りしてしまうものを私たちが使いつづけることの恐さを、ぜひこの水系でストップしていきたい。

でも、私たちが「非イオン系の洗浄洗剤を使いません」とやったら、かつて琵琶湖で有リン合成洗剤を使わないということで花王、ライオンと闘ったとき以上の闘いになると思います。しかし、これは力を合わせればできないことはないのです。未来世代に責任ある地球市民の一員とすれば、そのぐらいはやっていかなければならないという気がしています。

片寄先生の図でいうと、湖沼は川への通過点のように見えるのですが、先程から何回か申し上げているように、琵琶湖という湖沼に川が460本注いでいることから、琵琶湖も川の受手です。海と同質の問題を抱えています。ですから、たぶん琵琶湖の問題は、海で受ける問題と同じだと思います。

今日、琵琶湖、淀川、瀬戸内の水系の中で、この上流水源のことにぜひ目を向けてほしいと思いました。というのは、あの田舟に乗ったときに「これは琵琶湖に住んでいる私たちだけではなくて、流域の方たちと一緒にこの湖を見なければいけないな」と思ったことが第一です。

ただ、きっちりと政策化させていくとか、きっちりとした運動を継続的にやっていくためには、それなりの財源が必要です。それのためにはどうしたらいいか?と、ずっと考えてきて、実現できていないことがあります。

 

 

 

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