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事例3] 「魚のすむ川」

田中 哲夫(姫路工業大学 自然・環境科学研究所 助教授/兵庫県立 人と自然の博物館 主任研究員)

 

酒井さんがおっしゃいましたが、実は私は30年前、今は絶滅してしまった「川ガキ」だったのです。

普通、自然と子どもとのつながりというのは、昆虫採集から始まるのですが、それが終わりますと、もう少し難しい、高級な遊びになります。今は全国の川でヤスを使う漁というのは禁止されているのですが、私は小学校、中学校、高校と、川の中でヤスを使って魚をとるという遊びを、夏休みの間毎日やっていました。唇が真っ青になるまで冷たい水に浸かって、温かい岩の上で甲羅干しをする毎日でした。ただ、そうやって自然に親しみすぎますと、なかなか飯は食えないですね。その辺は覚悟して「川ガキ」になってほしいと思います。

今日は陸域起因の海洋汚染という話ですが、私は最初お断わりしたのです。私は海と川とのつながりに関する研究はやっていません。私のやっていることは魚の生態なのですが、今日はグイッと私のネタからねじ曲げて、少し川と海とのつながり、あるいは森とのつながりをお話ししてみたいと思います。

川に魚がすむためには何がなければいけないか、という大前提は、水です。水がないと、魚をはじめとした水生動物、あるいは植物はすめません。ところが、まともに水の流れている川というのは本当に全国から少なくなっている。ほとんど絶滅したのではないかと思われるぐらいです。

川に水がない。なぜ水がないかというと…

<以下、スライド併用>

 

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写真2.5.19 ファブリダム (田中)

 

さまざまな取水堰堤、これはゴム製のファブリダムです。農業用水路、あるいは生活の水としてさまざまな堰堤が構築されて、水が川の中を流れずにバイパスを通っている。

 

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写真2.5.20 取水用の溝 (田中)

 

川の水が涸れてしまうと、当然そこには魚がすめないわけですが、水が涸れてしまったら伏流水まで取り出そうと、ユンボで水を掘って…

 

 

 

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