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ところが、一旦子どもたちが川へ入って魚の姿を見たら、もう目の色を変え、夢中になって、もう人の話を聞きません。人間の本能とでもいうのでしょうか、私たちの先祖はかくあったのではなかろうかと思うほど、私たちの暮らしと川とは密着していたように思われます。結局、子どもたちは、私たちの計画した、1部で勉強をしよう、2部で魚とりをしよう、というのをものの見事にひつくり返し、夢中になって魚を追いかけました。

実行委員の中で、イベントの前には危険物除去というか、掃除をしておこう、川の中のガラスビンも取っておこうではないか、という話も出たのですが、「いや、そのままの方がいい。『川は危ないよ』と言って聞かせて入らせろ」ということで、大変乱暴ではありましたが、そのままの姿の中へ子どもを放りこみました。ところが、何のことはない。小さい子は小さい子なりに、中学生は中学生なりに、好きなように川で遊んでくれました。また、子どもを川へ入れたらこれほど喜ぶものかと思いました。そういうことで、今こそ子どもたちを川へ案内するということが大切なことだと感じています。

ですから、自然のやさしき、自然のあたたかさというものを、子どもたちが肌で感じてくれたら、「キレる子ども」やら「ムカつく子ども」は育たないだろうと思うのです。今日、荒れる教室が小学校にまで及んでいるようです。「心の教育を重視する」とは文部大臣の言葉ですが、なんと実体のない、虚しいことではないかと思います。まず子どもの手を引いて川へ行って、一緒に楽しんで、「川はこんなに楽しいよ」というように自然に触れさせることから川の水が美しくなる。石のぬめりを肌で感じたときから、やはり、自分の台所を見直すようになると思うのです。

このごろ「老人力」とよくいわれます。老人福祉の要求も大事なことだと思いますが、今こそ老人パワーというか、子どもの手を引いて、孫の手を引いて「川遊びをしよう。川は楽しいよ」と行動を起こしたいと思うのです。今日の聴講のみなさん方は、子どものころには立派な川ガキであったおじいさんばかりだと思います。

「川ガキ」という言葉がありますが、川で遊ぶ子どものことを「川ガキ」と言います。川ガキが発生する川は自然度の高い川だといいます。今こそ、川ガキの発生を促す「川ジジ」の出番がきていると思います。子どもと共に川で遊ぼうではありませんか。老人パワーを発揮して、子どもたちを楽しませ、私たち自身も楽しむようになりたいと思います。酒井秀幸は「川ジジ」と自称しています。

今日は有機農業の話も聞いてほしかったのですが、川で遊んだことの失敗談を申し上げて、私の責めを終わりたいと思います。

 

【片寄】「川ジジ」という言葉は、酒井さんが最近作られた名セリフです。「おばあさんは川に洗濯に」だから、「川ババ」もいるのではないですか。おじいさんは山へ柴刈りに行く方ですが。

我々、川や海で本当に自然の中で遊んで育った世代が頑張らないといけない。次の世代に、今の川や今の海を渡すわけにはいかない、ということを今、切々と訴えてぃただきました。後でまた、実践の話をしていただきたいと思います。

 

 

 

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