私は今治で松枯れを止めるためと称する農薬散布の中止を求めているのですが、今治の場合は松がはえているのが海岸線なのです。ですから、砂浜のところはばーっとまいて、地上散布なのですが、その散布の筒がこんなに大きな大砲のような筒からばーっとまいています。空中散布も県内でしていますが、化学物質を平気でまく。もっと自然にいいやり方があるにもかかわらず、そういう生物を殺していくことに無関心な行政が、やはり主流といいますか、まかり通っているような気はいたします。
ひとつだけ、少し暴露したいと思います。私は霞ヶ関の環境庁の22階に初めて行ったのですが、私は皆さんに審議会に意見書を出してもらいたいとどうして思ったかというと、審議会の委員の方々が20人〜30人いらっしゃって、そして環境庁のお役人がばーっといらっしゃって聞いていらっしゃるわけです。その中で環境庁が、藻場、干潟は大変重要であります。魚の産卵の場所でそこで揺りかごのように稚魚が育つのですということを書いてあったのです。そしたらある委員さんが、「はい」と手を挙げまして、「藻場、干潟が非常によろしいと環境庁は書いてあるが、悪い面も書いてほしい」とおっしゃったのです。悪い面とは何だろうと思ったら、「私は小さいとき藻場に足をとられて溺れたのだ」とおっしゃったのです。私はおかしくてプッと笑ったのですが、環境庁のお役人は「うーん」とおっしゃって、そして、今度の答申の中にそのことをきちんと作文してあるのです。「藻場、干潟は大事だ」と書いて、その次に「藻場、干潟の評価についてはこれからさまざまな面から検討」ということが書き加えられました。審議会の委員さんがおっしゃったことというのは非常に大事なこととして答申の中に入るのですが、実はその前段の意見というのは、藻場で自分がおぼれたのだからよくないという意見が堂々と語られるというのが瀬戸内海環境保全審議会だとしたら、私たちは誰でも意見を言う資格がもっとあると思うのです。本当に海が大事だと思う人はみんな、やはり審議会に言わないといけないと思うのです。暴露してしまいましたけれど、内緒にしてください。
【大谷】はい。行政の対応についてもう少し聞きたいのですが、葭川さん、木を植えるときに広島市や広島県の協力を得られたと言われましたが、市も県も「広島カキ」というブランドを守らなければならないという気持ちもあったのでしょうが、そのあたりどうでしょうか。かなり積極的な協力はしてくれるのですか。
【葭川】市でも県でも農林水産の現場の直接話をする人は、人によって違いますが、やはりある程度こちらが頼みにいけば協力的にしてくれる。ただ実効力、権限のある人というのは、そこに用事があって行ったら、たちまち部屋が違いますから会わせてくださいと言っても逃げていきます。これは少し前にあったのですが、宇品の埋め立てのときに十何年前に埋め立ての話が出たときにうちのおやじが担当だった課長さんに、もし宇品の埋め立てをするときにはきちんと公開してやってくれ。それとあと別にそこにあるカキだなというものがあったのですが、そういうことも少し考えてくれということがあったのですが、そのときに一応書類に書いてもらって判を押してもらった。
そして何年かして担当が代わっていたのですが、話にきたときにお宅は潮流は関係ないですから何もないですよと言われて、そのときに「こういう紙があって、そのときにはきちんと公開してみんなに説明してくれということなのだけれど」と言ったのですが、当事者どうしの話以外はしませんと言って課長さんが押しているハンコでも人が違いますからという言われ方をされて逃げられたりしました。
県や市にこちらからこういうことをしたいから協力してくれとか、今は特に県の方へよく出入りするのですが、漁業者はわかっていないと言われたのです。自分たちは平気で違反するくせに、違反するというか規律が守れない。何かあったときに協力してくれと言うばかりで、ふだんからお互いに接点をもって話し合うことをしていれば、緊急な事態のときにもすぐ対処できる。今年は特にだからそれを言われたのですが、ふだんからお前ら何もしない、何もしないと言っていて、頼み事のときにだけ来るのかと最終的には今年も何人かで怒った。
だからやはりこちらから歩み寄っていって、例えば嘆願書1枚でもどういう手順がいる、どういう順番に持っていかなければいけないということも、早いうちから覚えておくことが大切ではないかと思います。