これは日本の国内生産が緑、輸入が赤です。もっとも、気をつけていただきたいのは、これはゼロではないのですが、年々下がってきている。ちなみに3年前から、日本は水産物の輸入が40%を超えています。ということは、私たちの国はすでに水産の王国、日本というのは水産はとても強いと私は子どものころ習ってきたのですが、もうすでにそうではないということです。
さて、生産性に立脚した環境保全を考えればいいのだということになるのですが、これはどのように考えればいいか。危険な生物濃縮の影響を最小にする。これは先程から出ています。例えば農薬や、重金属もそうです。ダイオキシンもそのひとつになります。またそれだけではなくて、危険なものが少ないということと、貝や魚の餌になるプランクトンが発生しなければ、海のものは自然に湧いてくるわけではないのです。今までの一連のお話の中にもありますが、実にそこにはちゃんとした仕組みがあります。そして、このプランクトンが、ちゃんと餌になるプランクトンだということが必要で、それにはある程度の水質環境の整備が必要です。
これは宮城県のある島の写真です。本当はこういうところに、たくさんの水産物があるはずです。中はどうなっているのでしょうか。
この海を健全な姿に戻す何かが必要なのではないかということ、そしてそれはどのような切り口で考えていったらいいか、ということになるのですが、そういう変化は、生活環境や自然だけが今まで変わってきたことなのだろうか。例えばカキの養殖をするという、その養殖もひとつの変化なのです。それはなぜかというと、宮城県の石巻湾では、大体4000トンのカキが出ているのですが、そのために大体、200トンの窒素が必要です。それはプランクトンが、その窒素がなければ出ないのです。しかし、それに増して窒素以外にも、必要なものはないのかということなのです。
非常に私は船に乗り慣れていないので、こうして海の底を見ると船酔いがひどいのですが、このようなことをしながら海の底を見てみました。
これはちょっと見づらいかと思いますが、真っ白に磯焼けしています。こちらはウニです。この黒い隙間のところに、少しウニがいます。石灰藻というプランクトンが出まして、磯焼けしているということです。こちらがウニで、これがただの隙間。こちらの方が真っ白に磯焼けしているところです。
こちらもそうですが、ウニがこういうところにありまして、真っ白に磯焼けしています。本来こういう姿ではなかったわけなのです。
これはちょっと、海の底の写真を箱眼鏡で撮ったものなのですが、ここに海藻があります。その横に真っ白に磯焼けしている岩があって、海がある。これは実は、海中造林したところなのですが、海中造林をしても、造林をしたところだけは海藻がある。しかし、そのほかのところは焼けたままというかたちになっています。
さて、プランクトンベースで眺めると、健全な海の生産支配要因の鍵は何なのかということです。先程から言っていますが、私たちは太陽からの恵みを受けます。太陽の恵みを受けて、魚や貝が育つわけですが、魚や貝が何を食べるのかというと、動物プランクトンや植物プランクトンを食べるわけです。
その動物プランクトンは、植物プランクトンを餌とするわけですから、これはいきなり産まれることはできません。植物プランクトン、動物プランクトンと繋がっていくような食物連鎖がないといけない、ということになるのです。そしてそのつながりが今、切られています。
ある種のプランクトン、これはヘテロカプサというような、先程の話にちょっと出ましたが、毒性プランクトンに代表されるものです。シャットネラといった、ちょっと前の毒性プランクトンに代表されるものが出てしまいますと、生態系が切れまして、結果として上に行かないということです。それは、今日はややこしい話は、学会ではないのでしませんが、実は海の中にケイ酸というケイ素(=シリカ。ガラスなどと同じもの)などがないのです。不足しています。不足すると、生態ピラミッドの上に繋がらないような、そういうプランクトンが出ていく。そしてまた、先程の海藻の写真がありましたが、海藻などでは鉄分が不足するということなのです。鉄分が不足したり、ケイ酸が不足したりすると、切れる。そして、こちらまでいかないということです。