したがって、そこでいったん油の流出が起きると大変です。オホーツクには、ホタテが4年分増養殖してありますが、それがまずパーになります。オホーツクは、北海道でも漁場です。日本海が1位であれば、太平洋が2位、オホーツクは3位の資源量があるのです。それがまず壊滅状態になります。そして、太平洋を抜けて噴火湾に入ることは明らかですが、その対策がないのです。ですから、道にお願いしてやってもらわねばならないのです。
アメリカ、ロシア、日本で、先日から航空演習などをやっていますが、それも大変なことです。あそこも流氷海域で、まだ世界で経験したことのない試掘の場所です。オホーツクに4年住んで、そこに勤務してよくわかっていますが、本当に巨大です。防氷といって、何千万円をかけたのものをつくっても、あのようなものはガバッと乗りかかってきます。幸い今は温暖化で小さくなっているけれども、それはいつでもあります。サハリン沖ではそのように大きいものがあります。これをドンとぶつけたら、一度にバンと出ます。これは絶対に出ます。
ところが、何もやっていません。情報もないのです。先日、知事さんに聞いてきたようですが、わからないようです。我々も再三聞いていますが。ですから、これは道民のためにも、我が国民のためにもやってほしいです。北海その他ではもうやっています。バルディー号の事件その他でも教訓があって、全部国家的にやっています。ナホトカ号が転覆したときに、1週間かかっても回収できなかった。あれは、回収する船が1隻しかないからです。ずっと回ってきたから、「終わりころに、お前らは何だ」と怒られる。それで今、一生懸命もう1隻造っているけれども、あれではだめです。先程から私が言ってきたように、これだけの事故があるのです。
それと、流域のことです。流域はいろいろありますが、少しだけ申し上げると、森と川と海は一つ、これは生物的に一つなのです。しかし、人間の世界も一つなのです。昔は海の人も山の人も皆、漁師だったのです。逆もあったのです。そういう形が分解していったのです。法律では分けていますから。そして、ひたすら事業追求をしています。まず、森と川と海を基本的に一つにすることです。そして昨年、河川法が変わって、治山・治水ということでただ抑え込むというのが変わったかなと思ったら、そうでもなかったです。「環境」とういう言葉だけは、目的の中に入ったけれども、背骨も骨格も何も変わっていないです。
その証拠に、ダム・堰・樹林帯と、「樹林帯」という言葉が宝石箱のように入った。しかし、この「樹林帯」の解説が出てきて、省令で見たら、「堤防の外に植える木」が樹林帯で、「堤防を越える水を抑えるための樹林帯」と解説してあるから、やはり森はまだ物として見られているのだな、ということがわかったのです。そういうことも含めて、海岸法、森林法、その他のいろいろが、一体的な流域のスタンスにならなければいけないのです。
【木谷】最後に皆さん、これだけは言い残した、ということがありましたらどうぞ。
【小野】12月に河川法が変わりまして、初めて「環境」という言葉が、今までの治水・利水という言葉と、本当は同等に入ったわけです。しかし、建設省の開発局の方では、今だに3番目だと順位づけがされているように思います。
水害防備林というのは、確かに堤防の人間側、これは堤内地と言いますが、そこに防備林をつくるということなのです。残念ながら、川沿いの森のことではないわけです。しかし、私がすごくいいと思うのは、堤防のすぐ脇に林をつくろう、ということで、これは江戸時代からもうやっていたわけです。そういう知恵をもう一度学び直しましょう、ということなのです。
堤防のすぐ内側にそういう木をつくってやる。そうすると、そこにはまず人は住めないのです。つまり、木を植えるということは、「人が住んではいけないよ。水があふれたらいけないから、人は住まないでおきましょう」ということなのです。ですから、千歳川放水路もそうなのです。千歳川流域のようにあふれやすいところは、人はもう少し高台に移転してもらって、洪水がたとえ起きても大丈夫なようにしよう、被害が起きないようにしよう、ということなのです。