紙も使わない方がいいわけですから、小学生1〜2年生などは砂を使っています。砂に棒でアルファベットを書く練習をするのです。そういうこともできます。とにかく、市民がやろうとすれば、ドイツ人にできて日本人にできないはずがないのです。
札幌の市民が「こういうことをやりましょう」と始める。今すぐにでも、やろうと思えばできることをです。人ごとではなくて、自分が何ができるか。例えば、台所で合成洗剤を使わない、洗車をしない、といった自分自身がまずできることをやって、皆に広めていけばいいのではないでしょうか。いきなり国を変えよう、などと考える必要はないのです。それぞれ、札幌市がやる、江別市がやる、ということで国全体が変わっていくのではないかと思います。
【木谷】できることから始めよう、ということですね。また、市民運動が大切だというご意見でした。確かに、行政を動かすのは市民の力だと思います。
これからの市民運動のあり方などを含めて、小玉さん、お願いします。
【小玉】「生活者が何ができるか?」ということは、逆に「今ある生活は本当にそのままでいいのだろうか?」という疑問から入るということなのです。
水道の水はジャンジャン使っていいのでしょうか。今のエネルギー需要に追いつかないからと、原子力発電所も含めてどんどんつくり続けて、それで豊かな暮らしができるという。本当にそうでしょうか。
火力発電で石油等を燃やすと、エネルギーロスが60%出ます。実際には40%しか電線を伝わって来ません。途中で5%電線でロスします。最後に35%しか利用できていないのです。それだけ大事につくられた電気エネルギーをどうやって使うか、というところから考えてほしいのです。今のくらしを変えるとか、我慢するという以前にまず知っていただきたい。知っていただいた上で参加していただきたい。
節電でこまめに電気を消す、ということでもいいです。車に乗る距離を減らしてもらってもいいです。私たちがやっている運動というのは、皆さんにできるだけ情報をお伝えすることが1つです。また、参加していただけるような具体的な手法と場所を、一生懸命セットしています。例えば、今言ったような節電、節水的なことの啓蒙、また、有機農業というアプローチでは、有機農業の農家と消費者の方が一緒に参加して有機農業を守ろう、というような具体的な宅配事業もやっています。
先程の紙問題ですが、元凶になっている森林伐採に、日本がどれだけ影響しているか。木でなくても紙がつくれるではないか、ということで、サトウキビの絞りカスから紙をつくっています。さらに、古紙を混ぜれば、新しい木は切らなくて済むのです。ただ、これを使っても、根本的に紙を使う量を減らさなければ何にもなりませんので、そのことも知っていただきたいのです。
そういう形で情報をお伝えすること、皆さんが少しでもアクションを起こしていただけるような場所とシステムを提供していくことが、市民運動の役割だと思います。
それから、小野先生がおっしゃられた「行政を動かそう」ということです。これは、市民運動のパワーによるものです。市民が黙って与えられているものに疑問を持てば、いろいろなことが出てきます。公共事業しかり、さまざまな条例しかり、いろいろなことが出てくるのです。それについて、声を出すお手伝いをしたいのです。大学の先生に言っていただくのもいいと思います。市民のパワーと、大学の先生の知識と、もう一つ、政治という中に入ってお手伝いできればいい、という手法も考えて、現在、市会議員もさせていただいています。
そうして同じ思いをネットワークで動かしていくことが、行政・社会を変えることになる。皆さんが行動できるようなきっかけづくり、というのが市民運動の役目だと思っています。そういうパワーは今、非常に大きいです。札幌をはじめ、江別でもパワーが大きくなって、どんどん変わっていっています。
市民の方からも先日疑問が出ました。焼却場を建設します。人口が10万人になります。ですから、1日100トン燃やす焼却場を建設しなくてはなりません。これには、150億円がかかります。新しい焼却場をつくらないと、ダイオキシンが出ます。ということになれば、これはやはりつくらなければならない、と思いますね。