【木谷】環境ホルモンは環境庁の指定ですと、大体70種類くらいです。ただ、影響について未解明な部分がたくさんある。とにかく早急に解明をしてもらわなければいけないと思います。
今まで海洋汚染、川の問題、といろいろなご意見が出されましたが、「では、これからどうしていくか」ということを考えていきます。環境を守ることにおいて、日本は、例えば、ダイオキシンの規制に見られるように、対応が遅いと言われています。ここ10年、少しずつ法整備が進んできたとも言われますが、環境行政、公共事業全体の問題、農業・林業の政策も含めて、これからどうしていかなければいけないのか、問題がたくさんあると思うのです。
松永先生、行政へのもの言い、また講演の中でも一部触れられていたのですが、外国の例も含めて、今後のあり方を少しお話ししていただけますか。
【松永】環境ホルモンにっいてお話しします。船底塗料で有機スズの問題がありました。おそらく20年前、フランスの養殖ガキがだめになり、その原因を突きとめたら、有機スズだったのです。
私は12〜13年前、アメリカのサンディエゴにいましたが、そこに米国の海軍基地がありました。そこに化学者がいるのです。これが日本と違うところで、日本の自衛隊に海洋科学者がいるようなものです。この辺がアメリカは違うなと思いました。そこが泥を集めて有機スズの研究をやっていました。というのは、基地ですから、スズの汚染がどうなっているかといった研究をやっていました。しかし、日本では当時そのようなことをやっていませんでした。だから、私も帰ったらこのような研究をやらなくてはいけないのかなと思いました。
日本ではそういう問題があっても使用中止にするのはかなり遅れてるのです。フランスはもう20年前に船底塗料として使えなくしましたが、日本はそれからさら十何年遅れています。非常に遅れている。
この問題は、人間に対して直接どうこうというところははっきりわかっていません。しかし、少なくとも魚介類に影響がある。女性化するのは間違いない、と言われています。我々は食物連鎖の頂上にいます。そのどこか一角が崩れるということは、我々も生きていけない、ということなのです。
ダイオキシンの問題ですと、高温でゴミを処理すれば多少は出ますが、ほとんどダイオキシンをつくらせないこともできるのです。なぜそちらの方にお金を使わないかが疑問です。我々の子どもの時代に影響するわけですから、そういうことにお金を使っていくべきではないでしょうか。ですから、今の日本の公共事業のあり方を変えないといけない。
私は経済の専門ではないですが、どうも円安の流れを見ると、日本という国柄がやはり変わっていなくて、それで円売りが起こっているような気がします。ちなみに、私は去年の段階でそれに気がつきました。それで、私は110円でドルを買いました。今140円です。それを皆さん全員がやりだしたら、どうなるでしょうか。私がそういうことをしておいて、申しわけないですが、日本はだめだという気がします。何か今の構造を変えないとだめになると思います。次の世代に役立つ公共事業をやらなくてはいけないのではないか、と思うのです。
函館でダムを造ろうとしていますが、どう考えても必要ありません。函館の人口は30万人を切っていますし、日本の人口は2500年から減る方向なのです。函館だけがふえる根拠は何もないのに、32万都市にふえるというのです。そして今度は「核家族になるから水が要るのだ」と言う。それなら「人口がふえる」というのは撤回するのか。
さらに、治水の問題で「大洪水になる」と、例を挙げていましたが、その原因が何かは言わないのです。単に堤防が決壊したなら、それを補強したらいいわけで、主管が小さくて氾濫したら、それを大きくしたらいい、というだけのことでしょう。
おそらく今300億といっていますが、500億くらいかかるのではないかと思います。しかし、それは我々の子どもに負の財産として残すだけで、つくっても何の意味もないのです。そういうことを日本が今やっているから、日本売りです。どうしても円安方向に進まざるをえないと思います。
先程、日本海の再生について言いました。あのようなところに金を使えば、次の世代に生きるのではないかと思います。だから、なぜそちらに方向転換できないか、私は非常に疑問なのです。