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台所で毎日合成洗剤を使ったら、どのような影響が川に出るか、川の生き物がどうなるか。それが集まって、海になったらどうなるか。それは日々のことなのです。それを私たちが想像できないとだめです。いくら理屈で「こういうことをやってはいけません」と言っても、だめです。川の中にすんでいる魚、海岸にいた貝、そういうものに対して、今自分がやっていることがどう影響を与えるのだろうか、常に感覚で、心でイメージできなかったら、環境など守れないのではないかと思っています。

 

【木谷】海を守るということは、川の自然を大切にすることだ、ということでした。

小野先生のお話の中で、環境ホルモンの話が出ました。柳沼さん、漁業者の方も環境ホルモンには神経質になっていると思います。例えば、日本近海でダイオキシン汚染が進んでいるのではないかという報告も出ています。その辺のお話をお願いします。

 

【柳沼】昔から「ホルモン焼き」というものがあって、私はそればかり食べていましたが、最近「環境ホルモン」という新しい言葉が出てきました。私どもが知ったのは、昨年6月の北海道新聞の記事で、アメリカその他の研究報告がレポートされていました。その後NHKが取り上げて、ディレクターが賞をもらったそうです。そして、にわかに環境ホルモンという問題が出てきました。我々はそれよりも1年前の一昨年、すでにそれに対応していたのです。

オルマルジョンという新しい燃料、石油や原子力に変わる第三のエネルギーと言われるものがあります。石油より30%安く、ベネズエラに、日本でなら800年使えるというくらいの大埋蔵量があるということです。ですから、日本の企業、特に電力会社が飛びついたのです。我々は実は3年前に知内火力発電所の設置を認めていました。これは普通の油を焚くものだと思い、「はい」とハンコを押したのです。

しかし、実はその油がその後の実験で、大変なものだとわかりました。すぐ海に拡散してしまう。しかも、界面活性剤の働きで拡散するということがわかったのが一昨年です。ずっと対応してきて、昨年、これが「環境ホルモン」という新しい言葉の物質がそこに入っている。しかも、界面活性剤であるノニールフェノールの問題は大分前に企業はつかんでいたはずですが、我々には教えてくれず、最後に企業秘密となったのです。我々なりに世界各国から資料を集めて、ノニールフェノールを特定したのですが、それ以後報道されるような環境ホルモンに変わってきて、論議が一変していったというわけです。

いずれにしても、環境ホルモンあるいは界面活性剤、オルマルジョンが海に一旦露出すると大変に広がる、影響が大きい。すでに電調審が法律で認めている発電所を我々ごときが止めるということはできないのです。フロリダでもあったように、訴訟が起きたら大変なことですし、大損害を与えたということになれば「そうだ」ということにもなります。

「万全の学者による、第三者機関による調査研究をしてくれ」と言ったら、「します」ということで、とりあえず輸送は万全の体制をとると認めたのです。が、まだ全部を認めたわけではなく、学者がこぞってオルマルジョン研究に取り組んでいる最中です。

ノニールフェノールという界面活性剤は聞きなれなかったのですが、ずいぶん昔から避妊薬で使われていたそうです。女性ホルモンの働きをするのです。

環境ホルモンには、約70種類ほど名前の上がる物質があるらしいです。ダイオキシン、PCB、あるいは船底塗料など、いろいろなものに入っているということが大体想像されてきました。

日本政府も「大変だ」ということで、これもまた日本的なのですが、今年、環境ホルモン問題対策予算が突然175億円ついたのです。おそらく去年あたりから、環境庁、通産省、厚生省、農水省、科学技術庁、建設省などが、全部環境ホルモンの研究をすると言いだしました。「はやりのはんてん」には予算がつくのはわかるのですが、それはいいことなのか、「なるほど」と思うことなのか。それはそれとして、早く解明してもらうことが大事なことですから、その辺の対応をまずやってほしいと思うのです。

大変に恐ろしい、いろいろな知見が出ています。そういう研究もぼつぼつ明らかになっています。何せ男っぽい女性を見たら、これは環境ホルモンにやられているな、と。女っぽい男も昔からいましたが、あれも環境ホルモンにやられたのか。要は性を撹乱するので、反対になるのです。私がにわかになよなよしたら「あれは、環境ホルモンにやられたな」という案配です。毒というよりも人類の危機なのです。

 

 

 

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