■日本海の再生
それでは、科学的に考えて、日本海は再生できるのか。
ニシンが来なくなった理由はいろいろあるかも知れません。しかし、ニシンはコンブにしか産卵しないのですから、産卵場所をまずつくらないとニシンは戻ってこないのです。
では、ニシンを戻すためにどのような方策があるのか、ということをお話しします。
科学的な難しいことはわからなくても、河口域には海藻があるわけですから、河口域の状況をつくり出せば海藻が入る、ということには皆さん異論がないと思います。腐食物質が流れれば石灰藻が繁茂しないのですから、海藻をもう一度再生できるのです。
さて、せっかくの浅層地下水を、道路の側溝が遮断してしまうという問題があります。本来、海に流れていたものが流れなくなったのです。ですから、もう一度その水脈は海に流すと必要があります。
また、ダムの問題は言いましたが、今まで造ったダムは我々の生活に必要だった、という前提をします。ダムは堆砂する、すなわち、泥がどんどん溜まります。そうすると、ダムの機能がなくなってしまいます。それが今、日本全体で問題となっています。
その堆砂をどうするか。そこに酸素だけを注入すれば、森林の腐植土と同じ機能を持ちます。腐植物質を海に流す機能を持つのです。
荒れ地に木を植えても、効果が出るのに数十年かかります。その間どうするか。私は、日本海を再生させるには、その間にダムの堆砂を使ったらどうかと思うのです。
荒れ地を5cmくらい掘って、ダムの堆砂を入れる。表面は普通の腐植土を入れたらいいと思うのですが、そこに植林をしていく。すると、ここから腐植物質が流れ出す。この量を多くすれば、砂漠化地帯までさらに広げて海藻をふやすことができるのです。それを1ヶ所だけではなくて、日本海のあちこちでやれば、あちこちで海藻群落ができる。このように、私は日本海を再生できると思います。
また、それをしなければ、将来大変なことになります。皆さんは日本にいれば食糧不足ということがわかりません。しかし、現に8億人が飢えで苦しんでいます。人口は年間8000人ずつ増えているわけですから、いずれ食料難の時代が必ず来ます。そのときに北海道には農業・水産業がある、少なくとも日本の国民は食に因らない、そういう状況をつくるべきではないか。
30分間ではすべてをお話しすることができませんでしたが、このようにもう一度日本海を再生させて、ニシンを戻したいと考えています。