5. 沖合底びき網漁業の動作分析結果
沖合底びき網漁船の作業でローラー等の機器に巻き込まれるなどの災害が発生しやすい揚網作業のワーピングエンドを操作する作業を中心に動作と、作業姿勢の分析を行った。
? 網をつり上げる作業を対象に、作業者の移動動作を見るために、作業場所と作業動線、滞留位置を分析した。
? 無理な作業姿勢により、作業者が足腰をひねったり、腰痛になると考えられ、揚網作業や、上甲板での漁獲物を選別する作業についての作業姿勢を分析した。
5-1. 動作分析結果
漁ろう作業をVTR装置に記録、過去の記録より災害が発生し易く、かつ繰り返しのある作業について分析を行った。動作を分析した作業は、
? 揚網作業のワーピングエンドにワイヤーを巻きつけ、ワイヤーを引っ張り網を揚げる作業について(オッタートロール漁法125トン型1回、かけまわし漁法125トン型2回、かけまわし漁法80トン型1回)、

写真1 ワーピングエンド (かけまわし漁法 125トン型)

写真2 ワーピングエンドの操作 (かけまわし 125トン型)
? 網揚げ時つるし上げた胴網を落としサイドに畳んでいく(網繰り)作業について(オッタートロール漁法125トン型1回、かけまわし漁法125トン型1回)、
分析方法は、漁ろう作業毎に動作を細かい要素に分類して解析を行い、時系列で動作の変化を示すとともに、1秒毎の要素動作と作業姿勢の頻度を算出した。要素動作の分類として、1.「手を伸ばす」、2.「運ぶ」、3.「まわす」、4.「圧して回す」、5.「つかむ」、6,「合わせる」、7.「引っ張る(右手)」、8.「引っ張る(左手)」、9.「放つ」、10.「引き放つ」、11.「手待ち」、12.「その他」に分類した。作業姿勢を1.「立位」、2.「前傾(30°未満)」、3.「前傾(30〜60°)」、4.「前傾(60〜90°)」、5.「前屈」、6.「しゃがみ」として分類した。

写真3 網繰り作業 (かけまわし漁法 125トン型)

写真4 網繰り作業 (かけまわし漁法 80トン型)