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?-2 新造船・修繕船工事量

 タイ国内の主要造船所12(調査に回答した造船所のみ)の新造船・修繕船工事量は下表の通り。

 

第3表

注:引渡しベース

 

1.新造船

 タイの造船活動は国内市場向けの通常1,000トン未満の小型船建造を主体としている。このため、タイの造船所の経営はは国内海運企業、政府機関、海軍などの国内顧客に依存している。これらの造船所が建造する艦船の種類には以下のようなものがある。

(a)巡視艇、浚渫船、タグボート、海軍向け戦車上陸用舟艇などの特殊船

(b)内陸水運、内航海運向け小型船舶および艀

(c)小型客船およびプレジャーボート

(d)漁船

 タイの漁業には大きな発展性がある。漁船隊は多数の小型木造船から成り、現在、鋼船への代替が進んでいる。これはタイの造船各社にとって相当なビジネスチャンスとなる。国内各造船所は今後長期にわたって継続的に鋼製漁船の受注が見込まれる。
 現在、タイ造船業は、昨年7月以来の景気後退とバーツ相場の変動のあおりを受けて、新造船受注低迷に悩んでいる。しかし、造船業は雇用機会創出、関連産業促進、自立への手段の一つと考えられているため、政府は様々な政策、措置を通じて造船業の強化を図っている。

2.修繕船

 造船所の活動の大部分は、タイ国内で優先順位の高い修繕船の分野に集中している。タイの修繕船事業者は、一部の技術的に高度な船舶を除けば、多様な船艇を修繕することができる。タイの海運会社はこれまで、新造船調達よりも修繕工事のために国内造船所を利用することが多かった。沿岸および内陸水路で操業している船舶の多くが国内造船所で修繕されているのに対し、高度技術船舶や大型船は外国の造船所で修繕を受けてきた。タイの造船所は修繕の分野では価格競争力がある。最近のバーツ安と景気後退の影響により、修繕船業界は国際市場でも価格競争力を高めている。

 

 

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