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? 造船関連工業の現状

 タイ国内で約123社の造船関連企業がOMPCの諮問機関による調査に回答した。その内訳は素材・機器メーカー38社と、その製品を造船所や船主などに供給する代理店(すなわちサプライヤー/卸売業者)85社である。国内代理店の数がメーカーの数より多い。

 

第4表 造船関連企業の規模

注:( )*内の数値は資本金額の資料のない企業数を示す。

 新造船および修繕船用資機材のうち、数少ない国内メーカーから調達できるものは20%未満である。
 現在のところ、タイ国内では造船関連工業が十分に確立していない。新造船および修繕船用資機材のほとんどは輸入に依存せざるを得ない。その結果、割高な輸入資機材のために、近隣諸国よりも新造・修繕コストが高くなる。特に、タイの造船事業者には、新造船に使える良質の国産鋼材の入手面で問題がある。

 

? 最近の造船技術の発展

 造船事業者の多くは造船所の発展の鍵は造船技術にあると考えている。この観点から、多数の造船企業は自社の技術的向上に取り組んできた。
 現在、タイ国内の大半の造船所では船舶設計能力が充実していない。設計図面のほとんど、特に基本設計は、外国の設計者が作成したものである。技術的に高度な船舶の設計の場合には、船主や外国のライセンサーから図面が提供される場合もある。建造技術に関していえば、一部の造船所では造船先進国で広く採用されているブロック建造方式を導入している。これにより建造工事の能率が以前の低水準から大幅に改善された。
 一部のタイ国内造船所では、各種分野での技術向上を目指しており、特に設計・建造技術、機関製造および熟練労働者の養成を重視している。さらに、外国造船企業からの支援を受けて、生産性向上と、日程管理、品質管理などの面で造船技術の向上を図っている。外国からの技術開発支援により、国内造船所の技術水準の向上は大幅な進展を見た。

 

 

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