?-3 船舶解撤部門
フィリピンにおける船舶解撤事業は10年の歴史がありながら、まだ揺藍期にあるといえる。しかし、この産業が効果的かつ経済的な金属材料と舶用機械のリサイクルにより、老朽不採算船の廃棄を加速し、国内の船舶の近代化を促進しているとはいえる。現在、MARINAの免許を取得して営業中の船舶解撤業者は、K
& A Metals Industries Inc.とF.F.Cruz & Co.,Inc.の2社しかない。船舶解撤能力は、年間約100,OOODWTと推定され、その対象は専ら外国船の解体に集中している。
第9表 1995-1997年船種別の隻数と合計トン数

出所:MARINA造船監督局/内航海運局
? 新造船・修繕船産業についての政府の政策と諸計画
?-1 海事産業局(MARINA)
海事産業局は、新造船・修繕船(SBSR)部門を含む海事産業の規制と振興の任を負う政府機関である。この機関は、SBSR部門に関する政策と計画の策定、公布、施行の責任を負っている。この付託された任務により、MARINAはSBSR部門についての一連の政策と計画を発表してきたが、それらはいずれもこの部門の能力の育成を目的としている。
基本的に、SBSR部門に対するMARINAの規制・監督権限は、新造船事業者、修繕船事業者、洋上修繕船事業者、および船舶解撤事業者への免許発給指針に関する1995年1月14日公布の回覧覚書第95号、新造船工場、修繕船工場の操業を規制する大統領令第1059号、およびフィリピン国民が所有する船舶ならびにフィリピン籍船すべてにMARINAの免許を得た工場での修繕・入渠を義務づける大統領令第1221号が法的根拠となっている。これらの法令に基づいて、MARINAでは、造船と船舶修繕の免許の発給と更新、SBSR企業の資格事前付与と年次検査の実施、船舶の建造、改造および/または船種転換工事の計画と仕様の承認、建造、改造および/または船種転換工事期間中の船舶の定期的検査の実施、そしてフィリピン籍船が必ずMARINA公認の工場で修繕、その他の入渠工事を受けるよう監視を行う。
新造船・修繕船事業の振興に当たっては、国内の新造船需要の十分な喚起、国内の船舶修繕、保守の能力の拡充、国内造船所の設備や既存の技術の向上を図ることに重点が置かれる。国の開発努力における造船業の重要性にかんがみ、そのさらなる成長と発展に対する関心は増すばかりである。その発展を加速させるために、MARINAは、国際造船・修繕船市場と共に国内造船市場とについても、外国の投資家が投資分野の決定にあたって参考になるような、従来よりさらに広範囲にわたる投資関係資料を作成した。その間に、造船業の発展につながるような合弁事業の検討を促すために、造船、修繕船および船舶解撤に対する投資について、外国投資家を対象にブリーフィングが何回か開催された。
SBSR部門への投資の促進を補完するために、国内産の資材を使った船舶の計画と設計に関する研究開発も進められている。小型コンテナのための陸揚用運送舟艇(LCT)について、プロジェクト設計、開発、プロトタイプ製作にそれぞれの地域で援助を供与する制度るが、MARINAの手で実施されているが、その原案は科学技術省(DOST)から出たものである。東部ミンドロのマンプラオにおける予備テストは、完了したばかりである。小型コンテナのマーケティングは、採算性を確保するために、現在強化が進められている。MARINAはまた、一層徹底した政策改革にを誓った政府の公約実現のための諸問題に取り組むにあたり、関係民間部門と政府機関の積極的な参加を促すため、新造船・修繕船審議会の活動を再活性化させた。この諮問機関は、MARINAによるSBSR部門について有効かつ迅速な政策と計画の策定を支援するため、原案起草、フィードバック、情報収集の各面でMARINAを補佐する。現在、SBSR部門の規制・監督に関する一切の政策指針の見直しと評価が行われている。