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マレーシア

マレーシア造船業

? 序論

 1.マレーシアの海事産業は、マレーシア経済にとって重要な部門でとして政府から認識、認知されてきた。この産業はさらに三つの主要部門に大別することができる。すなわち、新造船、修繕船、その他の船舶関連工業である。海事産業はいまだに揺藍期にあり、第2次マレーシア産業振興マスタープラン(1996-2005)では、ボートと小型船舶の建造を、海上輸送部門において潜在的成長分野の一つとして認めていた。その他の有望な領域は、15,000DWTから30,000DWTの特定用途向け船舶、例えば自航バージ、セメント運搬船やフェリーなどの建造である。

 

? 現状

1.現時点で、マレーシアにはさまざまな規模の造船所が、約70個所存在する。現在、外航海運向けの船舶を建造あるいは修繕できる能力と規模を持つ造船所としては、Malaysia Shipyard & Engineering Sdn.Bhd.(MSE)、Sabah Shipyard Sdn.Bhd.(SASHIP)、PSC-Naval Dockyard Sdn.Bhd.(PSC-NDSB)がある。その他の造船所は、一般に内航海運を対象とし、建造能力は2,000DWT以下の船舶に限られている。これらの造船所は、鋼材の加工と舶用機器の組立てに力を入れている。造船所では最小限の設計作業は行っているが、大半の資機材は輸入依存で、品質管理を手掛けている造船所はほとんどない。

2.鋼鉄・アルミニウム製船艇を建造する造船産業の発展は、マレーシアでは比較的最近のこととで、これは国内市場を対象とした事業である。マレーシアの造船所の建造能力は、30,000DWT以下の一般船舶に限られている。ケミカル・タンカー、その他の技術的に高度な船舶は、専門知識・技能が不足しているために、わが国造船業の能力を超えている。

3.この地域における市況の好転を予想し、造船産業の成長を図って、ある造船所では、70,000DWTまでの船舶に照準を当てた世界最大級の船体昇降装置に設備投資して、新造船・修繕船能力を拡張し、近代化した。マレーシア政府もまた、技術移転と海外からの投資を奨励するとともに、国内施設でも人材育成や研究開発が実施できるようにした。この努力の一環として、政府は、PSC-Naval Dockyard Sdn.Bhd.に対して、マレーシア海軍向けの海上巡視艇(OPV)の建造を発注したが、これは艇の全耐用期間にわたる保守管理も込みの契約である。

4.他の比較的小規模な造船所は、タグボート、バージ、支援用船艇、小型フェリーや巡視艇の建造と修繕に特化している。大多数は国内市場向けであり、その少なからぬ部分が官需である。

 

 

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