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ベトナム

 ベトナム代表団は、造船産業の現状、海事産業経済の市場経済制度転換に向けて振興、発展させるための政府施策について報告した。代表団はさらに国内の修繕船事業と、競合する外資系造船所、それが新造船・修繕船部門に及ぼす影響についても報告した。
 フィリピン代表:ベトナムでは造船労働者、例えば艤装工の月給はどのくらいか。
 艤装工の場合、月額100米ドル、溶接工はもっと高く、月額150米ドルといったところ。
 電子メーカーの工場の労働者なら、例えば大宇のような外国企業との合弁なので、さらに高給で月額200米ドルも貰う。しかし造船所ではNKKなど、日本に労働者を研修に行かせることを考えている。
 インドネシア代表:報告書の13ページで、第2号、20号、40号の3造船所の稼働率はどのくらいか。
 この3造船所は主として修繕船工場である。
 第2号、バソン造船所には能力15,000DWTの乾ドックが1基あるが、これは非常に老朽化したドックだ。その他に能力8,500DWTの浮きドックが1基あり、これは艦艇工事に使用されている。
 第20号、バクダン造船所には能力6,000DWTの船台1基と揚力10,000DWTの浮きドックが1基ある。
 第40号、ハロン造船所には能力3,000DWTの船台が1基ある。
 これらの造船所は受注が少ないので工事量も少ない。
 インドネシア代表:ベトナム商船隊の現況は?
 ベトナム商船隊の全体規模は1.3百万トン。船舶の平均船型は50トン。ベトナム政府は新造船による旧式船の代替を図っている。向こう2年間に6.7(?)DWTの撒積船2隻を新造するプロジェクトが、バクダン造船所で進行中である。1999年末にうち1隻が竣工する予定。両船の設計は日本から提供された。
 インドネシア代表:艦艇建造所も他の造船所と同じように税金を払うのか。その通り。やはり税金を払っている。
 フィリピン代表:1国の造船業の善し悪しの一つの指標は、外国船を修繕する能力だが、ベトナムでは外国船の高水準の修繕をしたことがあるか?
20年前に修繕を始めたが、東側ブロックに属しているので、修繕工事の量は限られていて、その大半は旧ソ連の諸国のものだったが、東側ブロックの諸国は外国船の修繕も手掛けている。
 フィリピン代表:ベトナムの事業環境は、従来のように社会主義指向なのか、それとも自由市場経済指向なのか?
 現在では市場指向経済を計画している。ほぼ全面的な自由市場経済を実現しようとしているので、政府が管理する経済をフォローするためにエコノミストを育成しているのだ。
 サモア代表:6,500トンのコンテナ船とはどんな種類の船か?
 6,500トンの船は多目的船で、撒積船でデッキにコンテナを積めるといったものだ。
 フィリピン代表:造船業では民営化を促進する計画があるか?
 ベトナム政府の展望とヴィナシンの計画では、主要な造船所だけを造船産業の柱として維持することになっている。来年は2社を民営化する計画だ。
 フィリピン代表:ヴィナシンは純然たる政府所有の企業か?
 100%国有企業だ。
 フィリピン代表:民間企業として造船を手掛けようとしているところはないか。
 一部のコンサルタント会社にヴィナシン傘下の企業の刷新を委嘱していて、来年はヴィナシン傘下の企業の中から、さらに民営化の対象を選ぶ。民営化にはかなりの準備期間が必要だ。

 

 

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