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フィリピン

 フィリピン代表団は、主として地域における現在の経済危機への対処という面に重点を置いて、新造船・修繕船産業の現状を報告した。代表団は、外国投資家からの支援と、資金面の援助にいかに対応するかという面での先見の明が、造船産業の生き残りの鍵であることを強調した。フィリピン代表団は結論として、新造船・修繕船産業が繁栄、あるいは発展するためには、外国からの投資を引き続き受け入れ、また自国の資源を活用することが重要であると述べた。
 インドネシア代表:150百万米ドルの融資のうち、造船業に振り向けられた金額は?
 大半は海運業界に融資された。この融資はフィリピン国内で建造される船舶だけでなく、中古船の購入も対象になる。この点では非常に鷹揚な考え方で臨んでいる。例えば船主が日本から中古船を買おうと思えば、融資を受けられる。OECFの資金はそのように使われていて、だから日本もこれを歓迎するし、そうすれば日本からもさらに資金が流れてきて、こちらもそれを活用することができる。
 インドネシア代表:PRSとはどんな組織か?PRSから新たに船級を付与された船腹量はGTベースでどのくらいになるか。
 PRSとはフィリピン船級協会の略で、1993年の設立以来、国内船150隻に船級を付与し、その他パイプラインについて200件の認証を与えている。
 インドネシア代表:造船工学の学校、あるいは教育について、造船工学の課程を設けている学校はあるか?
 フィリピン全国でも造船工学の課程を設けている学校はせいぜい10校程度だが、その他に国立のフィリピン大学が、そういう課程を設ける準備を進めている。

 

タイ

 タイ代表団は、造船関連工業の現状も含め、新造船・修繕船産業の現況を報告した。タイ造船業の成長は、外国のコンサルタントや専門家による技術移転に支えられているが、長期的には、国際市場の水準に達するため、一層の発展を遂げなければならない。政府としても引き続き、この目標に向けた政策策定を進める。
 フィリピン代表:海上の安全を監督する官庁はどこか?職員は何人くらいいるか?
 海事局が海上安全の監督官庁である。海事局には約100名の職員がいて、政府の省の1部門から支援を受けている。一部の規制権限は海事振興委員会事務局に移管されるかもしれないが、この権限は政府の活動を規制したり、促進したりするために行使される。
 フィリピン代表:6ページで第1,2,3地区とあるのは何か?
 その地区については:
 第1地区がバンコク、
 第2地区が、バンコク以外の都市部である。
 造船所の適地はなかなか見つからないので、奨励策を実施している。
 フィリピン代表:鉄鋼産業について伺いたいが、大口の輸入者はどこか?特にないとすれば、どこから鋼材を調達するのか?
 バンコクから300キロ南の海岸沿いにサンダリア製鉄所というメーカーが1社あって、低価格の鋼板を生産している。他の製鉄所は建設用の鋼材のメーカーだ。
 フィリピン代表:輸出向けには値引きが可能か。国内需要に対応しているだけだが、やがて鋼板を輸出できるようになるために、今も品質改善に努めている。日本の投資家の支援を得て、造船用の高品質の鋼板も生産できるようになり、今年から操業を始めた。
 フィリピン代表:鋼板の販売体制は?
 メーカーの自社販売だ。調達は民間部門が独自に行っている。政府が介入するのは農業部門だけだ。
 インドネシア代表:タイ輸出入銀行の信用供与について、融資金額の上限はあるか?これはまだできたばかりの制度で、造船部門の場合、船舶の規模に応じて、総額いくらという形で信用が供与される。
 フィリピン代表:7ページには、国内造船所に15%の優先権が認められることが書いてあるが、これについてもう少し詳しく伺いたい。
 公共部門の調達のみで、民間部門には認められていない。
 サンドバル議長:他のアジア太平洋圏諸国も対等に参入できるように、こういう優先権は廃止されるのが望ましい。

 

 

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