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日本代表団は同国の造船業界の現状について報告した。報告は業界の船舶解撤と関連事項に関する方針、国際協力事業団の造船関連の事業についても触れた。日本造船業の労働力、新規受注、手持工事量、竣工量、世界の主要造船国・地域における変化が指摘された。また西欧からアジアの造船所に新規受注が移行する趨勢についても指摘があった。
 インドネシア代表:9ページに1994年12月に成立したOECD理事会造船部会の協定について触れているが、その現状と、それが未だに実施されていない理由についておたずねしたい。
 OECD造船協定の現状についていえば、どなたもご承知のように、日本、韓国、ヨーロッパ諸国(EU)、ノルウェーはすでに1年半前にこれを批准している。米国は協定の締約国ではあるが批准はまだで、批准は1999年1月3日に開会される議会の次の会期を待たなければならない。米国代表団長は可能な限り早期に、恐らく1999年2月に協定実施法案を審議するように議会に要請するはずであるが、議会審議の成行きについては予断を許さない。インドネシア代表:海外造船協力センター(OSCC)についておたずねするが、造船経営管理セミナーには民間造船所も参加できるか、また参加者数を倍増することはできないか?すぐに可能か?
 OSCCの造船経営管理セミナーの研修計画について、日本としてはこのセミナーを毎年改善しようと努力している。またこのセミナー課程は日本にとっても、他のアジア諸国にとっても非常に重要なものと考えている。これを継続する意向であるが、計画の時期、参加者数、内容については若干の変更があり得る。
 インドネシア代表:いわゆる「バブル経済」について、簡単にご説明頂きたい。
 どなたもご存知のように、日本経済は、特に1980年代末期に急速な成長を遂げたが、その後、現在にいたるまでに日本経済は急速な低落を見ることになった。この経済状況を「バブル」といっているが、大きいだけで内容を伴なわず、簡単にはじけてしまう、破れてしまうという意味で泡にたとえたのである。
 サンドバル議長:経済の不調というか、経済危機を経験した国はすべて「バブル経済」というわけで、つまり経済の資金的基盤が強固でないことを意味している。
 フィリピン代表:日本では産業の各部門についてきわめて明確な政策があって、この政策が日本の発展に大いに役立ったということがわかる。他の発展途上国で造船業の発展がもっと前進するため、もっと成功するためには、どういう政策を取るべきと考えられるか?もう一つ付け加えれば、各国はそれぞれ別個の政策を取っていて、それが成功しているところもあれば、進展の速度が遅いところもある。
日本造船業が非常に強力なのは、舶用機器工業のお蔭である。舶用機器工業の存在は造船を支えるために非常に重要な要素である。しかし関連工業との協力関係、話し合いだけが唯一の道ではない。例えば韓国は舶用機器工業はそれほど強力でないが、しかし造船産業の競争力は非常に高い。もちろん日本としてもいろいろなことを考えることが必要で、日本、その他のアジア諸国の船主も米国や欧州諸国との接触を求めている。

 

 

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