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インドネシア

 インドネシア代表団は、造船業の能力と可能性、次いで政府の政策を説明した。その説明によれば、昨年の経済危機のために、新造船・修繕船産業の最近の展開については、あまり報告するほどのことがないという。既存の造船所の拡張と、その機器の更新のために少額の投資が行われただけだった。船腹の代替、増強、保守管理の需要は大きいので、新造船・修繕船産業の今後の見通しは明るい。また既往の政策は業界の競争力強化の促進に役立つものだ。
 フィリピン代表:インドネシアとスペインの漁船建造協力の現状についてご説明頂きたい。
 インドネシアとスペインの協力プロジェクトでは300GT漁船を31隻建造することになっている。31隻のうち2隻はすでに就航し、3隻も竣工しているが、まだ引き渡されていない。残りの工事は65%程度進んでいる。資金の出所はPT Palというリース会社で、リース料は月額45,000米ドル。建造は南セレベス海のウドジョンパンダン市で行われている。
フィリピン代表:この計画は時間的に目標通り進捗しているか?引渡しの遅れはないか?
 来年末が引渡期限だか、計画の進行はすぐに遅れている。
 タイ代表:貴国通貨の下落による眼に見える影響についておたずねしたい。一時期インドネシア・ルピーの価値は急落したが、新造船の受注や修繕船の受注は増えたか?
 新造船受注は確かに増えたが、その主な原因は政府が付加価値税を10%軽減したことにある。修繕船工事では、国内船主だけでなく、外国船主からも受注が増えた。新造船ではわが国の外貨準備高は低いが、何件かの受注があった。例えば

  (a) スラバヤのPT Palはすでに2000年まで船台が埋まっている。

  (b) スラバヤのPT Docも船台が埋まっている。

  (c) ジャサマリーナの民間造船所でも船台が埋まっている。

  (d) 中小造船所の手持工事はそこまで行っていないが、それでも稼働率は50%を超えている。

 フィリピン代表:31隻の漁船の引渡しの遅れについて、さらにおたずねしたい。このプロジェクトの遅れの原因はどこにあるのか?
 問題は造船所の社内問題なので、あまりよくご説明できないが、遅れの主な原因は政府がいわゆるブロック方式を採用したことにある。わが国の造船所はこの方式にあまり慣れてなく、また指名されたのが大手造船所ではなく、小型造船所で、この技術を活用する能力を向上することが必要だ。
 フィリピン代表:最近、コストが大幅に安いことから、特にシンガポール企業がバタム島に造船所をいくつか開設しているが、その推移について、またバタム島の造船および船舶関連事業の将来性について伺いたい。
 政府としては、バタム島はご存知の通り非常に戦略的な位置にあるので、将来性は絶好と考えている。島全体が自由港地区なので輸入関税がない。バタムは造船所に向いているだけなく、電子工業などの立地としてもすぐれている。昨年完成した空港には、かなり大型の航空機が発着できる。インドネシア政府は、やはり自由港地区であるジャカルタ、国の北部、その他の地域と同様、バタムの開発を支援している。
 ホー氏:バタムはシンガポールの南にあって、高速フェリーで45分の距離、2ヵ所以上のアクセス点がある。シンガポールから非常に便利で、シンガポールより面積は広い。バタム島には22の造船所があって、うち10ヵ所はシンガポールの造船所と緊密な関係にある。これらはシンガポール企業として取り扱われるので、非常に金利の高いインドネシアの銀行から融資を受ける必要がない。物品の購入にはシンガポールの金融機関から支援を受けることができる。パン・ユナイテッドと非常に関係の深い造船所があって、ここでは能力2,250トンの浮きドックを建造中である。バタムの別の大型造船所では日本の提携先の経営協力を受けていて、ここでは10,000DWTまでの船舶用の昇降装置が竣工に近づいている。島の西側は特にサンバワン造船所が新造船と修繕船に利用している。ここでは受入能力65,000DWTまでの浮きドックを使用している。バタム島の東側にもシンガポールに近接した島がもう一つある。
ホー氏:これはシンガポール、インドネシア、マレーシア3国の経済協力の一環であり、すべてがこの3角協力の枠組みに含まれている。

 

 

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