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7.藻場

 海草や海藻により形成される群落のなかでも、大型海藻による群落は藻場と呼ばれている。砂泥域に発達する顕花植物によるアマモ場、岩礁域では、ホンダワラ類の繁茂するガラモ場やコンブ類によるアラメ・カジメ場に区別される。

(1)アマモ場

 アマモは株分れと実生(種子から育つこと)との両方で繁殖する。新芽は秋から伸び始め、古くなった葉から枯れ落ちる一方で新しい葉を伸ばしながら冬から春に成長し、春に花が咲く。その後は衰退期に入り、夏にはまとまって枯れる。

(2)ガラモ場

 ホンダワラ類は全5m長越えるものもあり、気泡で水中に立ち上がっている。多くは多年生で北海道を除く、日本沿岸の岩礁地帯に広く分布している。春〜秋に特別の小枝が伸びて卵と精子をつくり、受精した卵が母藻を離れ、岩に着生して育つ。

(3)アラメ場

 アラメは、東北以南の温海に分布している。いずれも夏から秋に成熟し、無数の泳ぐ胞子を放出する。胞子は岩に着生し発芽して微少な糸状体となり、それに精子と卵ができ受精卵が発育して大型の葉体になる。コンブは2年以上、アラメ・カジメは5〜6年間、生きる。

(4)ワカメ場

 干潮線から海面下、5m程の所に生える。褐藻植物で長さ1〜2mになる。体の中央に中助が縦走し、左右に偏平な葉が広がっている。成体では葉先から枯れ、胞子は海底に落ちて発芽し、配偶体になる。雌体には卵が雄体には精子が形成され、授精卵が発芽する。地域によって相違があるが、春から夏にワカメ体に成長する。

(5)テングサ場

 テングサは、体長10〜30cm位で暗紅色を呈し偏圧した針金様の体枝からなる。温暖域海岸で見られ、外海に面する岩礁上や内湾では、外海水の影響の強い場所に産し、約20mの深さまで生育する。多年生で周年、生えるが春から初夏に繁茂する。

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