総括的適用除外 − 第3.2規則は、いかなる寄港国についても、当該国管轄区域において、船舶に対しする本規則のすべて又は一部分の遵守を除外することを容認している。米国は一つの国が本条約に加盟する一方で、本条約規則の多くを除外する結果となることを懸念している。このことは、どのような場合にいかに本条約を適用するかについて、広範囲な不確実かつ矛盾した結果を招き、かつ、本条約の効果及び最も重要な本条約の意図するところの目的達成の能力をいつのまにか阻害する結果となる。
国際社会は、バラスト水内の海洋性生物の移動が世界的問題となっていること及び国際規制策定をもってこの問題を処理しようとしていることを明確に認識している。もしこの国際規制がこのような広範囲の除外措置を容認するのであれば、海洋性生物の拡散持続の防止又は最小化という国際規制の目的を阻害し、かつ、環境面及び関連経済面に驚くべき影響を及ぼすことになるであろう。
第一に、一般的に、前もってバラスト水による侵入を予知できない。次の理由により、外国種の侵入を引き起こす危険性の低い航海があるという主張もある。1
ある国からその他の国への、長期間にわたるバラスト水移動
2 バラスト水中の間連生物("標的生物")の不在
3 バラスト漲水/排水港間の顕著に異なる環境条件
米国は、この理論的根拠は、次の理由をもって、このような広範囲な除外措置を正当化するための、新たな侵入に対する適切な防止措置とはならないと確信している。
1
バラスト水移動が始まってからの数十年間に、多くの侵入事例が発生している。一例として、北米五大湖で発生した、数十年にわたる欧州"zebra
mussel生息港"からのバラスト水排出後の、欧州産zebra
musselの定着
2
知られている害虫種の場合を除き、他の生物にとって有害害虫となるであろう生物を識別する指標はほとんどないので、バラスト水中のどの生物がひとたび非土着かつ目新しい環境に放出された場合に、容易ならない侵略者となるかを予知することは、一般的に不可能である。ある地方からその他の地方への生物移動を防止することが、唯一の効果的侵入防止戦略である。
3
バラスト水排出港との間に明確な風土の違いがあるバラスト水漲水港からのバラスト水中のあらゆる生物が、必然的に死亡するかどうかは疑問である。
第2に、侵入が予知可能な場合といえども、選択したバラスト水管理方策の適用が、寄港国、地域及び世界的レベルにおける海洋性生物の国際的拡散を防止する努力に逆効果をもたらすこともある。バラスト水管理及び異国種侵入は、寄港国特有の単独の問題ではない。広範囲の除外措置を一方的に利用する寄港国は、隣接国の環境を傷つけることになる。
しかしながら、米国は、バラスト水の国際動向に焦点を合わせることはもちろん、寄港国の弾力性を維持するため、本条約は、単独国の管轄区域内のみを航行する船舶(すなわち国内航海のみに従事する船舶)に適用すべきでないと確信している。同様に、航海に関する条約の要件は、国際航海のみに適用すべきである。
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