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MEPC 41提出バラスト水管理文書検討

 

5 作業部会は,今会期間に,MEPC38作業部会で作成された規則案(MEPC41/9, annex 1)について,実施ガイドライン(MEPC41/9 annex2)と併せ,さらなる検討を加え完成すべきことを想起した。
有害水生生物・病原体移動を最小化する船舶バラスト水制御・管理ガイドライン総会決議A.868(20)は,DE及びSLF小委員会を通じて得られる安全要件助言と共に考慮されなければならない。
 本件に関するさらなる検討結果は,後述第19〜22項に記載されている。

 

6 事務局は,現在までに個々の国々が取り入れている,バラスト水と共に移動する有害生物・病原体の危険性最小化を目的とした各国内要件のステータスを尋ねる質問状案(MEPC41/9/1)を紹介した。
 当委員会は,すべての加盟国に配布するため,作業部会が作成した質問状改正案(MEPC41/WP.14)を承認した(MEPC41/20,annex4)。

 

7 作業部会は,IACSから,貫流方式採用を含む,各タンクのバラスト水の排出/再漲水シーケンスによるバラスト水交換に関連して,結果として生ずる可能性のある潜在的危険性に関する評価結果の報告を受けた(MEPC41/9/2)。
 以下に,当該危険性の調査結果の概要を列記する。

 

.1 洋上バラスト水交換が,バラスト水交換船舶自体及び当該船舶乗組員に対し,多くの危険性をもたらすこと。

.2 バラスト水交換が部分的積載状況下で実施される場合,船舶及び積載条件に対する具体的デザイン限界超えることが決してないことを確認すべきこと。
 一例として,船艙内の貨物並びに二重底及びホッパータンク内のバラスト水の重量が,航海条件許容値を超えないこと。

.3 バラスト水交換計画が,安全なバラスト水交換に必要不可欠であること。

.4 当該バラスト水交換計画は各船特有のものでなければならないが,それらの形式については,安全な実施を容易にするために標準化すべきこと。

.5 多くの既存船は排出/再漲水シーケンスによるバラスト水交換方策を安全な方法で実施できず,また,貫流方式によるバラスト水交換も実施できないこと。

.6 安全なバラスト水交換実施不可能な船舶については,配船変更,積載貨物減量,構造変更,運航制限等,代替となる危険性減少方策を検討すべきこと。
 このことは,船舶所有者にとって,コスト増の問題となってはね返える。

 

8 作業部会は,IACSが表明した上述の貴重な調査結果及び懸念を高く評価する一方,MSCの今後のSLF及びDEによる評価のため,これらをMSCに伝達すべきことを検討した。

 

9 ノルウェーが実施している,バラスト水を,40ミクロンフィルターにより濾過,かつ,紫外線照射により極小生物を殺滅するというプロジェクトに関する情報が提供された(MEPC41/9/3)。
 この必要不可欠な科学技術は,沖合い油井への水注入目的のため開発されきているもので,注入容量は3,000立方メートル/時間までである

 

10 米国専門家が,米国でも同様の研究が実施されてきており,この分野での専門家作業間協力及び関連プログラムの相互影響が望ましいことに言及した。

 

11 豪州は,同国文書(MEPC41/INF.26)において,MEPCが,IMO決議A.868(20)に明記されている目標日達成を目指し,特に,個々の国々による強制バラスト水要件導入傾向増進の観点から,バラスト水管理のための国際強制法規制枠組み策定を追求すべきことを強調した。
 さらに,作業部会は,豪州におけるバラスト水管理問題進捗状況,特に豪州R&Dプログラムの下に実施されているプロジェクトの最近の達成結果,すなわち,バラスト水熱管理,オゾン処理並びに各種コレラ菌(Vibrio cholerae)及びその他の標的種のバラスト水中生存適応力評価プロジェクトについて銘記した。
また,豪州は,危険性の高い船舶に対し港付近指定海域における追加バラスト水処理実施を要求する場合に備えて,港緊急時対応計画を策定中である。

 

 

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