3.3 実験結果
図?.3−1には、オキシダントの変化を示した。 なお、オキシダント分析結果は、巻末の資料;1.13に収録した。
鹿島港の海水では、電位印加によるオキシダントの上昇が処理直後に確認され、電解槽内の滞留時間が長いほど上昇している。 その1日後の減衰は、3mg/L程度では原海水の濃度にもどるが、5mg/Lを超えると減衰は認められない。
一方、大阪南港では、印加による明瞭なオキシダント上昇は認められない。 また、1日後には、通電時間が長いほど減衰し、原海水の値を下回るようになる。 この理由は、もともと多くのオキシダントを含んだ原海水が、印加で生物が殺滅されるほど、つまり滞留時間は長いほど有機物の分解が進み易く、伴ってオキシダントも消費されたものと考えられる。
この大阪南港の結果は、先の生物への損傷がオキシダントによるもので無く、印加による電極と細胞間の直接電子移動反応であることの裏付けである。 また、二次汚染や船体腐食等に関しては、大阪南港のような有機物の多い海水では心配がないが、鹿島港のような有機物の少ない(きれいな)海水に対して長時間印加した場合では、オキシダントによる船体腐食等が起こる可能性も残されている。
図?.3−1 オキシダントの変化