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(4) 休眠胞子の殺滅効果

 自家蛍光法とプリムリン染色法という異なる2方法で、電気処理法の Alexand-
rium 属シストに対する殺滅効果の評価を行った。
 2つの方法による結果は、完全には一致しなかったが、自家蛍光法による電解槽滞留時間90秒で殺滅効果が得られるという結果と、滞留時間10秒でも効果が得られるという結果は、相反するものではない。
 相違点は、プリムリン染色法における正常な黄緑色蛍光を発するシストおよび黄緑色蛍光が淡いシストが、発芽力を備えているか否かによって起こっている。 対照サンプルで、黄緑色蛍光を発するシストが約90%を占めるのに対し、クロロフィルを発現するシストが20%弱にとどまるのは、黄緑色蛍光を発する多くのシストが発芽力を持っていないことを示している。
 リバラスト代替手段の有毒プランクトン Alexandrium 属シストに対する効果判定方法としては、最終的にはシストの発芽力の有無(再生産し、他海域に移植する可能性の有無)で判定する自家蛍光法が有効であると考え、本実験結果として3V,
0.2〜0.8A,90秒の電位印加で殺滅効果が得られると判断する。 ただし、損傷は、プリムリン染色法の結果を採用し、10秒の印加でも殺滅効果が得られると評価する。

 

2.4 電気処理法による海洋生物殺滅効果

 以上の実験結果から、本電気処理法による海洋生物殺滅効果は、海水中の生物に対しては、通電量3V,1A、電解槽内電位1Vの微量電力約10秒の印加、そして、有毒プランクトン Alexandrium 属の休眠胞子に対しては、3V,0.2〜0.8Aの微量電力約90秒の印加で、殺滅効果が得られた。

 

 

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