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? 植物プランクトン

 植物プランクトンの変化は、クロロフィルa,フェオフィチン,種別細胞数等で検討した。
 それらを総合すると、結果は次のようにまとめられる。
 電位印加の有無にかかわらず、電解槽を通すだけで多孔質炭素電極に多くの細胞が付着・吸着する。 また、その付着・吸着量は、電解槽内滞留時間が短い(流速が速い)ほど多い。
 電位印加による殺滅効果は、短時間の印加でも破裂して消滅する細胞がある。また、消滅することなく電解槽を通過した細胞に対しても、滞留時間約2秒から損傷が表れ、種類で印加に対する耐性異なる(鞭毛藻類が弱く,珪藻類が強い等)ものの、滞留時間10秒で多くの細胞に対して損傷を与える。
 以下には、項目毎の結果を述べる。

 

a クロロフィルa

 図?.2−4には、クロロフィルaの変化を示した。 なお、クロロフィルaの分析結果は、巻末の資料;1.2に収録した。
 クロロフィルaは、電位印加の有無にかかわらず、電解槽を通すと原水に比べて減少する。このことは、電極として使用している開孔径100μmの多孔質炭素電極に、相当量の植物プランクトンが付着・吸着したことを示している。
 また、電位印加無しの滞留時間に着目すると、滞留時間が短時間(流速が速い)ほどクロロフィルaが少なく、多くの植物プランクトンが付着・吸着し、試水中より除去されたことを表しており、前記、浮遊物質の結果と一致する。
 特に、大阪南港の海水の減少量が多く、植物性の有機物が付着・吸着し易いことを示唆している。
 電位印加の有無の比較では、滞留時間10秒以上のほとんどのケースで、印加有りのクロロフィルaが少なく、印加による殺滅効果が表れている。 また、その効果は滞留時間が長いほど高い傾向が見られる。 ただし、いずれのケースにおいてもクロロフィルaが完全に消滅することはなかった。 この理由は、細胞内色素であるクロロフィルaは、細胞が電位印加によって何らかの損傷を受けたとしても即座に分解・消滅しないためと考えられる。

 

図?.2−4  クロロフィルaの変化

 

 

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