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 また、今の救助センターからのインマルによる指定海域向けの救助要請文に関しては、通報形式をできる部分は統一しておくのが非英語圏の船舶への親切であり、速い救助活動を促すことになると考えます。いずれにせよ英会話力が求められますが、こればかりは自己研さんを待つしかないのでしょうか。
 今回の海難が「当て逃げ」によるとのこと。自他を損なうことになる見張り、不十分が指摘されて久しいですが、「百年一日」のごとく繰り返される人災はシーマンシップ以前のこととして落胆を禁じ得ません。
 終わりに、これからの緊急時の心構えの一つとして「船内に、連絡することを使命とする職種が存在しない」のを,承知し対処されるのが賢明だと考えます。これはモールスが消えることでの無念からいうのではありません。船が危機に瀕したとき、プロはそれぞれに己の場所を知り最後まで全力を尽くす気概をもっていることと、最も大事な局面で必要とする部署が欠ける不安につき避難体験がいわせるのです。
 イパーブを始動させたり、SOS符リに代わる「メーデー(フランス語でわれらを助けての意味)」の遭難電話を発する不幸は避けたいところ、そのためには日本海難防止協会はじめ担当管庁、関係団体等による過去のライフラフトの普及と訓練活動が大きな成果を挙げられたように、引き続きたゆみない海難防止活動の啓発活動にご尽力くださいますよう期待してやみません。



「海と安全コーナー」に一万人

東京国際ボートショーで

 (社)日本海難防止協会は、2月10日から14日までの5日間、東京ビッグサイトで開かれた第38東京国際ボートショーに「海と安全コーナー」を出展しました。
 今回の期間中の入場者総数は昨年より約8,000人少ない約152,000人でした。
 本協会は、事業活動の二本柱である「調査・研究」と「周知・宣伝」の手法を、海難事例を基に分かりやすく写真や図で示したパネルを展示し、また、海難防止、海洋汚染防止、GMDSS関係のパンフレットや資料を配布したり、これらのビデオを放映し、海難防止、海洋汚染防止をPRしました。
 今回の来場者からは、先の漁船新生丸の海難で話題となっている「イパ一ブ」についての質問が多くみられ、GMDSSのビデオやパンフレット、そして「海と安全」2月号(GMDSS特集記事掲載)が理解を得るのに役に立ちました。
 またお楽しみ抽選会では、テレホンカード、胸にカモメマークのTシャツ、使って便利な布バッグなどの、グッズが人気を呼びました。
 どちらかというと堅い感じのする「海難防止・海洋汚染防止」にもかかわらず約1万人もの人々が足を寄せてくれ、周知宣伝の一助になったことと思います。(村上)


にぎわう「海と安全コーナー」

 

 

 

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