尖閣諸島の現況
西山 尖閣には年中神経を使われていることでしょうが。いかがですか。
友永 尖閣は香港、台湾の保釣活動です。抗議船を仕立てた市民のデモンストレーションということです。この活動は中国政府の後押しもないようです。昨年はその釣魚台号が沈没したのでしばらくは来ないかもしれません。
それから、3月から、5月にかけて中国漁船がカワハギを追ってやってきます。とくに昨年はカワハギが多かったのか雲霞のごとくたくさん来ました。
それと中国の海洋調査船がやってきます。
沖縄振興と海との関わり
西山 沖縄独自の尖閣関係の大変さがよく分かりました。
次に、最近沖縄の振興がいわれておりますが、海上プロジェクトとか港湾計画などはどのように進められるのでしょうか。
友永 計画進行中の海上プロジェクトとしては、那覇水路を横断する沈埋トンネル工事、中城湾の大規模埋め立てを行うマリンタウンプロジェクト等があります。特に沈埋トンネル工事については航路管制を行う挟水路において長期間の工事が行われることもあり、平成2年度からの本格工事開始に備え、日本海難防止協会で航行安全調査を実施し基本的航行安全対策をまとめていただきましたが、それに基づき昨年末に地元関係者から構成される航行安全連絡協議会が設立され、今後具体的な安全対策について検討が行われることとなっています。
港湾整備については、国際ハブ港化を目指しているといえるでしょう。今後、中国、東南アジアに向けた貿易港として伸びるためにも地元は港湾の整備が望まれています。 那覇軍港の移転につきましては、地元の反対等もあり凍結状態でありましたが、最近になって新聞等でも取り上げられているように、普天間基地の移転問題とあわせて沖縄県にプロジェクトチームが組織され検討が開始されるような動きがあります。解決しなければならない問題も多く、今までの経緯等を踏まえますと時間もかかりそうです。
石垣航空基地に人事院総裁賞
西山 現状についてよく分かりました。最後に、石垣航空基地が人事院総裁賞を受けられたそうでして、おめでとうございました。
名誉なことですから、概要を聞かせて下さい。
友永 第11管区石垣航空基地は、沖縄県の復帰以来、南西諸島に点在する離島住民の急患輸送業務を行ってきました。離島からの急患輸送は、ヘリポート等の施設が必ずしも十分でないこと、天候不良や夜間での輸送が多いこと等悪条件にもかかわらず、同業務開始以来、26年間無事故で行われており、今までに輸送完績は約1500人となっています。この中には妊婦の輸送中に狭いヘリコプターの機内での出産事例もあります。
平成10年12月、石垣航空基地の急患輸送業務に対して第11回人質院総裁賞が授与されました。基地の今までの活動が評価され、本賞は、正に国家公務員としての最高の栄誉であると考えます。
医療施設の十分でない南西諸島の住民にとって、同基地の急患輸送は、まさに「命綱」であり、今後とも「救命の翼」としての責任を全うするつもりです。
西山 本日は長時間にわたって貴重なお話を伺うことができました。沖縄の特殊事情を知ることができましたし、今後の海難防止ならびに海洋汚染防止の諸活動を実施していく上で大変参考になりました。ありがとうございました。
(平成11年1月13日、第11管区において対談)

ヘリコプターから患者を搬送