海難統計と海難防止指導
西山 海難防止指導にあたって原因究明は.不可欠と考えます。海難は70%以上が見張り、不十分、運航の過誤など人為的海難となっていますが、ではその遠因、背景となったものは何か、その深層にあるものを究明してそれを海難防止に生かすことが必要であると思っています。
友永 海難統計は貴重なものですが、統計上出てこない問題もあります。このような問題は地元の管区が1番よく知っています。ですからそこで対策を立て、これに力をいかにいれるかということが必要だと思います。
西山 船舶海難による死亡・行方不明事故については、なぜ船舶の物損だけでなくそのような悲惨な結果に至ったのかというハードとソフトの両面から海難を分析評価することが大事であると考えています。

友永本部長
地域の特徴をとらえた対策
友永 私の経験では、海難防止には具体的対策の立てれるものと、運航者の資質にゆだねざるを得ないケースとがあります。
前段については前向きにやりますが、後段に対しては具体性に欠けることが問題です。当管区の海難防止の特徴としては、パヤオと呼ばれる大型の浮魚礁が多数設置されていすが、過去に、通航船舶がパヤオへ衝突した事例、パヤオが流出した事例等航行安全上の問題が発生したことから、大型パヤオについては海図に記載するとともに、水路通報による周知に努めています。さらに関係者に対しては、設置場所については船舶通航路を避けること、夜間の標識を設置すること、流出に備え識別表示を行うこと等を指導しています。
海洋レジャーに関しては、沖縄の特殊性を踏まえると周年の活動が必要ですが、夏期の全盛期を控えた六月中句に管区独自の活動として「海洋レジャー安全週間」を設置し、安全指導の徹底に努めているところです。また、沖縄には沖縄ウォータークラフト安全協会という水上バイクの団体があり、海上保安庁の協力のもと講習会、安全パトロール等の活動を行っています。
海難防止指導にあたっては、1つ1つ事例を集めて手を打つことです。対策を講ずればある程度効果は挙がるようです。
例えば、スキューバーダイビングで事故を起こさないためにはこうやる、事故を起こしたときはどうするなどの指導をしています。
西山 本部長のお話を伺って感じることは、全国的な1つの基準で海難調査や海難防止活動をするのではなく、地域性を入れた原因調査や海難防止活動が必要だということですね。

廃油ボール調査