船の機関故障は車が道路でエン故するようには簡単にはまいりません。この種海難には非常に神経を使いますし、早くそういう状況をなくそうと努力している訳です。
また、外国船は、一般的にいって水路にうといでしうからなるべく水先をとってほしいと思っています。ここでは那覇港那覇水路以外は任意ですが、ホワイトビーチに入る軍艦はすべて水先をとっていますし、水路の狭い宮古、石垣に人る外国船もほとんどがとっています。万一事故でも起こして航路をふさぐということになれば、ここは生活航路が多いので大変困る訳です。
西山 水先問題は経済的観点からではなく安全確保の見地から地域性を考え厳格に対処するということが必要だと思います。
沖縄は担当エリアも広く沖合の通航船が多い海域だと思いますが通航船の海難はどうですか。

機関故障で漂流するLNG船
友永 この海域では外国船海難の割合が多く、その6割以上が通過通航船の海難となっています。それも比較的大きい船が多く、もし座礁でもされると油流出などの心配がありますので早期対応が必要です。
昨年について思い起こしますと、北大東島の近くで外国の鉱石運搬船が時化で荷崩れを起こし浸水沈没、乗組員、10人が行方、不明になる事故が発生しました。捜索の結果、行方不明者の発見には至りませんでしたが、この事故は沿岸への影響がなかったのが幸いでした。先にお話しましたLNG船とこの2つが記憶に残っています。
西山 そういう海難事故のときのご心労には大変なものがあることでしょう。
友永 今後外国船が増えてくることでしょうから、少なくとも海図を持ってもらう努力は必要です。
当管区では沖縄の部分だけを抽出した海図索引図に英文も付して外国船に提供しています。このような地道な活動が海難防止につながればと願っています。
西山 そうですね。外国船に的確な情報を伝達することが重要だと思います。外国船に情報が十分にいっていない現状では、知らないがための事故を起こすことにもつながります。この海域ではどこの船が多いのですか。
友永 定期運航されている大型コンテナ船等ではほとんど事故はありません。東南アジア、台湾、中国を行き来している船が比較的多いようです。 沖縄の経済にとってこれらの船舶の往来は重要なので事故のないよう願っています。

油を流しながら航行する外国船