沖縄周辺の海難の特徴
西山 沖縄の概要がよく分かりましたので、沖縄周辺の海難の特徴的なことを中心に、その現状と概要をお願いします。
友永 沖縄における船舶海難・人身事故の現状ですが、船舶海難についてはここ数年減少傾向にあります。一方、外国船舶とプレジャーボートの海難は増加しており、リーフヘの乗揚げと通過通航船舶の海難が多いのが特徴です。
また、人身事故については、ここ数年増加傾向にあり、海洋レジャーにかかる人身事故の多いことがあげられます。沖縄では周年海洋レジャーが盛んでして、多くのダイバーや遊泳者が海を楽しんでいますが、この人達による事故が多いのです。この種事故は直ちに人命にかかわるものですから特に注意を要します。
西山 最初に海難の特徴についてお聞きしますが、リーフヘの乗揚げは多いのですか。
友永 ほとんどがりーフヘの乗揚げです。沖縄は観光産業が地域経済に占めるウエイトが大きいですから、流出油事故などがあると大きな打撃を与えることになりますので、特に乗揚げ事故による油漏れを防ぐことが求められます。
幸い油がさんご礁を汚した例がないのですが、もしそういう事故があればさんご礁や養殖業に甚大な被害を及ぼすことになります。
地元の船は海をよく知っているので比較的大きい事故は少ないのですが、外国船舶には海図を持たないのがいるので、海図を持たずに乗り揚げるものを先ずなくしたいと思います。

宮古島沿岸のさんご礁に乗り揚げたセメントタンカー
ここでも多い外国船海難
西山 地元の船はリーフの状態・気象・海象などをよく知っているので海難が少なく、外国船の事故が多いということですね。全国的にも外国船の海難が増えていて、特に1,000トン以上の船舶の海難の75%以上は外国船ですから、そういう意味では外国船対策の問題を抱えているということですね。
友永 全国的にみると全海難に占る外国船の割合は1割推度ですが、この海域では、2割となっていいます。また、去年の外国船海難は、昨年の倍近くに増加しました。統計に出すと機関故障とか乗揚げなどが中心で、これを大したことはないと思うかもしれませんが、機関故障の船は沿岸に乗り揚げる恐れもあります。
去年、LNG船が機関故障で漂流し、石垣島の方に近づくという事故が発生しました。幸い運航者が大型タグをもってきてうまくいきました。

浸水し、傾斜した外国貨物船