特集 SOSからGMDSSへ
海上保安庁警備救難部
情報通信管理課
海上における遭難・安全通信システムの近代化のため、1992年2月1日から「GMDSS(海上における遭難及び安全に関する世界的な制度)」が導入され、従来のシステムからの移行が図られてきましたが、1999年1月31日をもって移行期間が終了となりました。
このため海上保安庁も、1999年2月1日から、GMDSSによる通信体制にすべて移行しています。
タイタニック号の海難
(SOSの打電)
1912年英国の新造豪華客船タイタニック号が大西洋で氷山に衝突をした際、通信士はモールス無線電信を利用して「SOS」を打電しました。
SOSが初めて利用されたのは、タイタニック号の海難のときであるといわれていますが、タイタニック号からの電波は約20カイリの付近海域を航行していたカリフォルニア号に十分届いていたにもかかわらず、同船の通信士が勤務時間外であったため、SOSは受信されませんでした。
このためタイタニック号は海難史上約1,500人もの犠牲者を出した悲劇の船として歴史に刻まれることとなってしまったのです。
事故を契機として
人々はタイタニックの事故を契機として、すべての船舶が無線電信を装備してSOSなどの遭難信号の電波を聴守していたならば、もっと多くの人命が助かったかもしれないという教訓を得るとともに、海上における人命の安全にとって無線電信が重要な役割を果たすことが強く認識されるようになりました。
そして、1912年ロンドンで開催された第2回国際無線電信会議では、一定の種類の船舶には無線電信の設置を強制することが必要であること、無休の聴守を維持する無線局を設置すること等が取り決められ、モールス無線電信を主体とした遭難・安全通信システムが国際的な制度として導入されることとなりました。
その後、1920年代には遭難・安全通信システムに無線電話が導入されるなどして、このシステムは有効に機能してきました。