2つの食材
私が目にした大事な食材は2つありました。まず1つは、第2次大戦中、ノルウェー領海に沈没した船舶からの油回収目的で開発、使用されたFrank Mohn社のROLS(Remote Offloading System=無人油抜き取り装置)です。目下の最大稼働水深は360メートルです。世界に2台しかありません。
2つ目は、第2次大戦中のオマーン沖、水深2,600メートルに撃沈されたジョン・パリー号(7,172総トン)にまつわるものです。それは1994年、本船から大量の銀貨を引き揚げる際に使われたBlue Water Recoveries社の世界唯一の装置です。

ROLS
料理方法
そして料理方法は、これらの食材を特別な味付けでドッキングさせ、ナ号・チャンポンに仕上げる世界初の計画なのです。
つまり、船位保持装置付き石油掘削船をナ号の上に静止させ、パワー・ユニットとROLSを載せたゴンドラをオイル・ケーシング・パイプに連結し、ナ号へ降下させます。
次にROLSをゴンドラよりROVで燃料タンク外板へ運びます。後はパワー・ユニットからの油圧等でバルブ付きプレートを特殊ドリルでタンクヘ取り付け、ROLS内のポンプ軸に付いているカッターで穴を開けます。後は穴開け兼用のポンプで燃料油を吸い出し、このパイプを通して船上へ回収するという方法なのです。
そして平成10年には韓国へ8月と10月に渡航し、水深80メートルのオイル・タンカーからROLSによる実際の抜き取り作業2件を見学しました。

ジョン・バリー号で使われた石油掘削船
弊社の取り組み
このように、弊社は実績のない方法をいかに技術的に確かなものとするかを真剣に検討しています。そして将来この成果が深海へ沈没した船舶、危険物、放射性物質等による環境破壊の防止に貢献できるよう積極的に取り組んでいます。

ジョン・パリー号で使われたコントロール・ユニット(中央は筆者)