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深海に沈没したナ号から
油の抜き取りは可能か

日本サルヴエージ株式会社
技師長 小松 正博


筆者

ナ号との関わり

 まず、私とナホトカ号との関わりを申しますと、災害当初、海上災害防止センター殿から゛現地に1号業務対策本部を設立し記者会見を行うので、理事長に同道するように"とのご下命を拝し、1泊2日の予定で三国町入りしたのが始まりでした。
 ところが会見が終わるや、゛後、最後まで頼んだよ"の一言を賜り、ついに2月27日まで着たきり雀での長期ご奉公(1号対策本部詰め)になったのが現実でした。

深海に沈没したナ号の燃料油回収の取り組み

 それでは島根県沖の水深2,500?に沈んでいるナ号に対し、弊社がどのように取り組んでいるかをお話します。
 弊社は三国町での作業終了後、今度は深海からの燃料油回収を検討し始めました。間もない3月10日、ヨーロッパからサルベージ会社(SMIT社)、宝探しの専門業者(Blue Water Recoveries社)、特殊ポンプメーカーのFrank Mohn(トランスレックのメーカー)連合が、゛抜き取りは可能であるから、一緒にやろう"と鼻息荒く来日しました。
 そして弊社で計画の可能性を検討しました。その結果、本計画は実績はないが、装置の設計基準を向上すれば可能と判断しました。

百聞は一見にしかず

 さて、皆さんは゛一体どんな方法で?"と思われるでしょう。弊社も最初は皆さんと同じでした。そこで私が渡航して装置を見聞することとなり、平成9年6月22日から29日までの間、単身、ノルウェー、イギリス、オランダを訪ねました。当地で作業母船、特殊装置等を目の当たりにし、゛百聞は一見にしかず"の思いで帰国しました。
 それでは、私が見聞した計画のあらましを具体的にお話しますが、深海用の油抜き取り専用装置が一品料理としては現存しないことを、まず念頭に置いて下さい。
 そこで、われわれサルベージ屋の食材(既存の装置)をできるだけ集め、チャンポンという一品に仕上げる腕が必要となる訳です。

図 ナ号からの油抜き取り概念図
 

 

 

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