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 潤滑油漏れと水漏れがある場合には、修理工場にすぐに修理を依頼します。(潤滑油漏れと水漏れは放置すると、この例のような重大な事故となります)これらを実施するだけで、かなりの事故が防止できます。
 次に、潤滑油、冷却清水と防食亜鉛の定期的な交換を行います。そして、数年に1度の開放整備をし、摩耗した部品、交換時期がきた部品を交換する必要があると思います。

事故防止

 機関関係の事故件数は、プロペラなどが浮流物等と衝突するものが60%と多くなっていますが、水中にある浮流物等の発見が難しく、事故防止には限界があります。これに対し、主機関・補機関および船外機のエンジン部分の事故は、内部的な損傷であることから、事故防止をすることができます。
 図5に示しましたが、主機関・補機関の事故原因の半数近くは、冷却水と潤滑油の不具合であることから、これらの点検が事故を防止する重要なポイントとなります。また、機令別の主機関・補機関の事故発生率が5年目と6年目に高くなっていることから、負荷率の高い機関は、3年に1回、その他の機関については数年に1回の開放整備をすることが事故を防止する有効な手段と思われます。

まとめ

 事故防止については、漁業協同組合が主体となり漁期の前に点検整備をしている鉄工所が、会員を募り勉強会をして整備の重要性を説いている、船主会で事故を起こした機関を教材に勉強会をしているなどいろいろな試みが行われていますが、まだこのような例は多くないようです。
 魚価の低迷といわれて久しくなりますが、整備がおろそかなために発生したと思われる主機関・補機関および船外機の事故はますます増加傾向です。点検と整備は、事故を防止し、操業の安全を確保し、機関の性能を維持して長持ちさせ、究極的には漁業経営を安定させることになります。
 漁船を長年使うにはどうすればよいのか、今一度みんなで考えてみませんか。

 

 

 

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