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漁船の機関故障

 救助は、ほとんどが洋上で航行不能となった漁船を僚船がえい航するものですが、僚船がいない場合または僚船の手に負えない救助の場合には、専門のサルベージ業者に救助を依頼しています。(緊急の場合には、巡視船にえい航されることもありますが、件数には含まれません)  全損は船の壊滅的な損害、救助不可能および修繕費が漁船の保険価格(評価額)を超えて修繕ができない等があります。

機関故障

 機関関係の事故件数の割合を見ると、プロペラ関係が58%、主機関・補機関が24%、船外機が18%となっています。 また機関関係の損害額の割合は、主機関・補機関が60%、プロペラ関係が34%、船外機が6%となっています。(図3・4)

 
図3 機関事故件数の割合
(平成7年度)
  図4 機関事故損害額の割合
(平成7年度)

 機関関係の事故のうち、ブロぺラ関係とは、プロペラ、プロペラ軸および船尾管等の事故で、事故の原因は、浮流物との衝突や座礁が多くなっています。(写真1)


写真1 座礁により損傷したプロペラ、プロペラ軸、舵

 主機関・補機関の事故は、主要部品であるシリンダーヘッド、シリンダーライナー、ピストン、クランク軸、タービンの事故件数が多く、事故の原因は半数近くが冷却水と潤滑油の不具合によるものです。その他に、使用年数が長くなっていることから、部品の摩耗や材質の疲労が原因と考えられる事故も増えています。(図5・写真2・3・4・5)


図5 主機関・補機関の事故原因(平成7年度)

 
写真2 冷却不良により亀裂したシリンダーヘッド   写真3 冷却不足により膨張して焼きついたピストン
 
写真4 冷却不足により膨張して焼きついたライナー   写真5 潤滑油の劣化が原因で焼きついたタービンのローター軸

 船外機の事故は、60%が浮流物との衝突や浅瀬との接触によるプロペラの損害ですが、その他に冷却水の通路がふさがり、冷却不良によりピストンが焼きつく事故、浮流物に衝突して船外機を落とす事故等があります。(写真6)


写真6 冷却不良により焼きついた船外機のピストンとシリンダーブロック

 

 

 

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