たまたま市議会でも漁船海難多発の防止策論議がなされており、担当の農林水産課では個人助成はできないが団体助成は対応できるとの見解が示されました。
ちなみに法定備品救命胴衣価格は@3,500円ですが、試用した漁労作業に支障のないと思われる新型救命胴衣の価格は@24,500円です。市役所では、30%助成をつぎの議会に提案との内示を受けました。
さきの海上保安署の組合員への安全講習、救命具装着推進運動に引き続き平成10年から地区では小学生に対する海洋講習学級も開催し、巡視艇体験搭乗に際しての救命具装着訓練を機会に、署員から子供たちに各家庭での安全操業について話題提供を呼びかけ、また組合でも漁協婦人部会合での救命胴衣購人推進を働きかけました。
会合で該当救命具の価格が論議され、1部の女性が「高い」とつぶやきました。一応集会のため少しオシャレをしてきた彼女に言ったのです。「失礼ですが、あなたのブラウスとスカートは3万円以下で買えるとは思えませんし、部長さんのスーツは10万円以上とお見受けしますが、あなたがたのご主人や兄弟の命の代償としての救命具の24,000円が高いと、言えるでしょうか。ぜひあなたがたのへそくりで、身内の命を買うようにしてほしいものです。」
女性たちが高いと感じる気持ち以上に漁民男性は作業の邪魔になる装具装着をこばむ気持ちが大きいと思われます。当協では協議懇談に際して、救命具の装具必着の習慣づけが確立するまでは、転落防止の手すりの設置、命綱使用などをよりいっそう奨励することとしました。
100%出漁前には救命具装着を!の習慣づけを達成するには大変な道のりが予想されますが、人為的に防げる事故はあらゆる方策を試み実行すべきと思います。
私たちの組合は一集落だけの漁民で構成されている関係と、令船が同、漁種の集団日帰り釣り漁業形態のため、なんとかまとまり、事の取り決め結束の強い地域ですので、今まで漁労作業の省力化や鮮度保持の方策などでも他地区に先んじて取り組んできています。
この地域性に加えて、組合執行部、役職員の不断の努力、推進態勢が整えば、救命具装着励行に係る安全操業確立もなるものと信じます。
図 手すりの設置 ※太線が手すり
