救命具装着の励行に向けて
下ノ加江漁業協同組合
組合長
永井 深

筆者
高知は室戸岬、足摺岬の好漁場を擁した長い海岸線に小さな漁村集落が点在し、定置網漁業や口帰り操業の小型釣り沿岸漁業の多く見られる上地がらです。黒潮踊る明るい上佐湾にも、ときに海難事故が発止します。
当組合の事例では近年3年ごとのひん度で、転落行方、小唄による死亡推定事故が発生しています。
情報システムの発達したこのころでは、荒天を見越しての出漁操業のためしはなく、みんながなぜこんな日和にと不審を抱くほどの凪、荒天町での発出をみています。せめて救命具を装着していてくれたら、時間をかけてでも発見の可能性があったものと関係者をくやしがらせる事例が最近顕著です。
もしもの転落を想定しても自分だけはとの自負以上に、釣り漁業主体の近隣沿岸漁船ではなるべく身軽い装備での操業を望み、半長靴、汐除けのズボン・かっぱ以外は装着しがたい気持ちが強く、設置を義務づけられている法定備品の救命胴衣は船に積んでいるだけでふだんはかえりみられることはありません。遊覧船やプレジャーの場合は別として、職業漁船での救命具装着率は限りなく0%に近い状態です。
この原因の一端は備品の設置は義務づけられていますが、装着までは規定していなく取締機関の海上保安部署等の指導にも限界がある現状です。
平成10年度では県内でも2月・3月・4月と各月々にかけて転落死亡事故が発生した経緯があり、当協船主会では組合執行部との捜索活動後反省会での検討で漁船の就労場所付近の手すり設置(図参照)をはじめ、救命具装着励行推進についての話し合いが真剣に行われ、現在義務づけられている法定備品救命具は、厚手の胴衣で装着したままでは操業時に漁労活動に支障があるためほとんど役にたたないことから、今回、海難を契機に実用可能な救命胴衣購入あっ旋を漁協に要請し、組合は県漁連へ依頼して新式救命具「腹巻型」「ポシェット型」の2品目の送致を受けたので、旬日を経ずして海上保安署の安全対策講習へ、会開催と新式救命具の取り扱い説明および実地試用実演会を開催したうえで、組合員への購入調査アンケートを行い半数以上の購入予定希望がみられましたが、価格面での難点打開策として組合一括購入によるメーカー値引き交渉に加え安全対策事業としての取り組みを決め、市行政サイドへ事業費助成の要望をしました。