事故防止対策の現状
それでは、漁業者自身は普段、事故防止のためにどんなことに注意しているのかを同様のアンケートで調査しましたところ、次のような回答が出ました。(294人回答)(別表)
よくわかってはいるのだけれど、海に出るとつい「もう少し」、「まだ大丈夫」と無理をしてしまうのでしょうか。
別表アンケート回答結果

事故防止対策としての実践内容
そこで、本県では小型底びき網漁業による事故を中心に、また事故のなかでも1番多い転落、漁具による巻き込まれ事故を防ぐため、平成7年度に、県、漁連、漁業代表者、漁船関係者で組織した岡山県操業安全対策地域推進会議を3回開催して具体的方策を検討しました。
その内容は、
(1)手すりの設置(経費片側約3万円)手すりの設置状況は調査した6漁協では0〜50%%と大きく分かれており・まったく設置していない組合では、その理由として船の前部、後部ともに深い(55〜65センチメートル)・設置率50%の組合は後部が浅く、通路が広いため(28〜33センチメートル)、としており、概して新造船は甲板からブルワークまでが高いが、旧式船は低いものが多くありました。
(2)ネットローラーへの巻き込みを防ぐための安全装置の設置
・光森式安全装置(岡山県玉野市所在の光森鉄工所で考え出したもの)、(経費約15万円)
ネットローラーに巻き込まれそうになったとき、接触枠に触れるとネットローラーが停止し、その後逆回転する。
・ロープ、滑車等を使用し、ネットローラーのクラッチ等を遠隔操作する非常停止装置(経費約、2千円)
巻き込まれそうになったとき、ロープをつかむとクラッチレバーがニュートラルに戻り、回転が止まる。
(3)ボイスコントローラーの装置
緊急のとき大声を出すことで、センサーがキャッチして巻き取り装置が停止する。

ステンレス製手すり
以上の3点について、メリット、デメリットを出し合いながら険付しました。
その結果、値段が安くしかも収り付けが簡単な手すりの設置を呼びかけ、岡山県漁業操業安全協会が経費の1部を助成することとなりました。また、取り付けについては次のことに注意しました。
(1)船の前部は後部より深く、転落の危険性が高い
(2)ひざまでの高さの有無が手すり設置のひとつの目安となる
(3)手すりは腰の高さかそれ以上に設置する必要がある(80??以上の高さがよい)
(4)手すりは金属製か竹製
(5)年配の人の船は一般に浅い船が多い
平成8年度は各漁協あて「転落防止柵手すり設置」の希望調査をしたうえで、5組合20隻にステンレス製の手すりを片側分のみ助成の対象として設置しました。なお希望者の多いところは、年配のかたの船から設置することとしました。また平成9年度は、8漁協30隻を対象に設置助成しました。