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事故防止安全対策の取り組み

岡山県漁業協同組合連合会
企画指導課 課長
熊城 純子

筆者

 岡山県の漁業海域と形態について

 岡山県の漁業は、備讃瀬戸を主に、東部は播磨灘、西部は備後灘に接する海域において行われています。
 備讃瀬戸は束内75キロメートルの細長い海域で、最峡部である玉野市松ヶ鼻から対岸の香川県高松市大崎の鼻までの距離はわずか7キロメートルにすぎません。瀬戸東部の日生諸島から西端笠岡諸島にかけては大小80の島々が散在し、瀬戸内海の中の多島海域の1つとなっています。(別図)
 岡山県の海面は、面積800平方キロメートルと狭く、水深は20メートル以浅の海域が80%を占めており船舶の輻輳する海域となっています。そのうえ海洋レクリェーションの需要の増大により漁業環境はより厳しさを増しております。
 浅い海域を生産の場としている本県の漁業は、昔から海岸線海域の利用が盛んで、入江が多く波が静かなことから、のり、かき、ひらめなどの養殖に向いております。
 本来の生産量の4分の1を占める海面漁業の種類別では小型底びき網、刺し網、小型定置網漁業となっており、一方全体の4分の3、を占める海.向養殖漁業のうち、のり養殖が41%、かき養殖が54.7%、その他の養殖が3.9%となっています。
 岡山県で使用されている漁業は、漁業種類によって異なりますが、1トンから5トン未満が主力でそのうち1〜3トンが41%、3〜5トンが44%、5トン以上はわずか5%にすぎません(1トン未満が10%)。 次に、漁業就業者数は約、2、470人で、男子では60歳以上が54%、40代・50代が、36%、30歳以下は10%となっており、高齢化が一段と進んでいます。
 事故の状況と原因以上のような漁業環境の下で、本県の過去10年間の海難事故を見てみますと、27人の漁業者が死亡しており、事故原因の6割強が転溶や漁具に巻き込まれによるもので、年齢別にみると、35歳から60歳のいわゆる働き盛りが半数を占めています。 また、事故に遭遇した人の半数は小型底びき網漁業操業中でした。
事故を起こした、または事故寸前だった人からの事故原因についてのアンケート調査によりますと、
 (1) 悪天候の無理な操業
 (2) 操業時間の問題
 (3) 作業場所が狭かったり、整理整とんができていないなどの作業環境の不具合
 (4) 船体、機関の取扱、不良
 (5) 店眠り等作業員の身体的条件によるもの、
などと答えた人が多く、この他(6)不宣然な作業姿勢、動作をとった(7)心配事がある、など作業員の精神的条件なども事故原因となっていたことがわかりました。 また本来の主幹漁業である小型底びき網漁業はほとんどが1人乗りで、全体で見ても84%が1人乗りで操業しており、海に転落した場合の発見の遅れや、すぐに助けてもらえないこと等が、死亡事故発生の一因となっています。

 

 

 




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