海外研修員見聞録
アメリカ(1)
富山商船高等専門学校
教授 山崎 祐介
アメリカにて
イギリスからアメリカに移り、平成8年10月15日から16日間滞在した。目的はイギリスと同様シミュレーターをはじめとする種々の船員教育の手法を凋査することだった。
MlTAGS
MITAGS(Maritime Instituate of Technology and Graduate
Studies)は、メリーランド州バルチモアから車で約10分、ワシントンから約1時間半の人里離れた閑静なリンチカムハイトにある。船長、航海士、パイロットの国際組織によって1972年に設立され、今では世界で最も先進的な海事教育施設を有しており、事務職員を除いて47人(教官は18人)で運営されている。
主として航海系のパイロット、船長、航海上のための再教育、訓練機関であるが、舶用機関系の同様な施設はMEBA(船舶機関士協会)がワシントンにある。
MITAGSの今年の計画表におけるコースは全部で20コースあり、主なものは次のとおり。
(1)消火活動=構礎的な教室での講義と訓練4日間、施設利用訓練
(2)上級消火活動=シュミレーションを伴った消火活動の技術、コントロールおよび操作、5日間
(3)ARPA=パイロットと仕官のためのARPAの適正な使用法、5日間
(4)レーダー操作=学生のためのレーダーの適止な使用法5日間
(5)船橋操船=船舶操船シュミレータを使用したヒューマンエラー防止等のための船橋共同操船、5日間
(6)パイロットのための船橋操船=パイロットのための船舶操船シミュレーターを使用した船橋共同操船2間
(7)電子総合コンピューター航行システム=電子海図、ロラン、GPS、デファレシャルGPSの基礎理倫と使用法
(8)GMDSS=航海上のための船上GMDSS操作習熟10日間
(9)危険物質=シミュレーターを利用した危険物荷役の習熟5日間
(10)イナートガス、大然ガスの洗浄Hタンカー荷役シミュレーターを他州した安全、適正な技術習得
(11)悪天候回避=最適航路手法の理解と習熟5日間
(12)蒸気/ヂィーゼル=航海士のためのシュミレーターを使用した推進プラントの理解各五日間
(13)操作シュミレータ−=基礎的な操船法の習熟10日間
(14)船舶人事管理=船長、航海士、に対しての人事管理の理解と習熟5日間

MlTAGS専門棟前
(1)船橋シュミレーター
この施設を利用したコースは前述の(5)と(13)があるが、筆者が受講生に密着して見学できたのは(13)であった。ここではブリッジシミュレーターという用語はあまり聞かれず、操船シミュレーターという用語がよく使用されていた。
ここには夜間専用操船シミュレーターと昼夜操船シミュレーターが、2つ並んで設置されている。いずれも約15年ほど前にできた訓練・調査用施設で、360度のスクリーン(高さ40フィート直径100フィート)と大きく夜間専用のものは船橋自体がピッチング、ローリングするようになっている。