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安全に対する考え


岡本 先日私はタイタニック号の映画を見ましたが、これはすばらしい映画ですね。沼田さんはご覧になりましたか。

沼田 残念ながらまだ見ておりません。今日くる前に悪い予感がしました(笑)。対談の前に見てくればよかった。

岡本 日本がこのような映画を作れるには、後50年くらいは必要だと思うくらいコンテンツが立派な映画なんですが、それとは別に海の恐ろしさを知りますね。あんな船がどうして氷山にぶつかって沈んだのかわからなかったのですが、あのような船でも穴があいて浸水すれば船は沈むのは当然の話で、また海に投げ出されたら寒さで凍死してしまうのですね。
 映画は、3,000?くらいのところに沈んでいるタイタニックにカメラを落ろし、そこから始まるのです。
 深海に今沈んでいるタイタニックの廊下をカメラが進むに従って、モノトーンの当時の船の廊下に徐々に色がついて豪華な船内シーンに変わっていくのです。とにかくすばらしい映画です。

沼田 デジタルをフルに活用する今の技術もあるのでしょう。

岡本 そう。つい最近まで当時の生存者が生きていたという古いようで新しい出来事なのですが、夜の航海で見張り人が氷山を目で確かめながら避けていくのです。危険な航海だったのですね。
 それからみると今の航海技術は長足の進歩ですね。

沼田 それでも海難はなくなりませんね。

岡本 日本海難防止協会は創立40周年を迎えるそうですが、日ごろから日本海難防止協会の方は一生懸命事故防止に努めておられると思います。にもかかわらず海難事故は後を断ちません。
 海難防止ということは、生意気なことをいえば現象をとらえてそれに対応するだけではだめで、根っこに海を愛するという海に対して謙虚になるという教育が一緒になければいけない気がします。

沼田 高速道路などでくしゃくしゃになった車などが置いてあったりしますが、あれを見て怖いと思うのですが、普段船の事故は身近ではないのですね。
 昨年ナホトカ号の海難がありましたね。ナホトカ号については、マスコミも大々的に取り上げ、またたくさんの汚れた海の写真が出ました。事故が身近で起きたせいもあるでしょう。
 事故はアピールしないと意外に分からないものです。だからベトナム戦争ではキャパの写真とか、戦争についてたくさん報道されてアピールされていますが、地味な仕事はなかなか表に出てきません。

 

 

 

 

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