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おわりに

 海洋性レクリェーションは基本的に海の資質である情緒的資質とエネルギー資質に負うところが多い。情緒的資質とは人間の五感を通して享受する海の自然環境である。海の香(潮風)は人々の心をリフレッシュするアロマセラピー効果があり、よせては返す波の音や潮騒は、母なる海(羊水)に浮かんでいたときの心臓の鼓動とよく似たピーリング効果を与えてくれる。また視覚に入る大海原や多島海の美しさは、オープンスペース効果をともなって人々の心を豊かにしてくれるとともに、希望をも与えてくれる。皮膚を通して感じる海水は疲れた体や心をタラソテラピー効果を有している。食としての魚介類は人類固体の維持と子孫繁栄のために生命の移転を行ってくれる。
 太陽から放射された恵みの光と熱と天体運動は、熱(海水温度差)エネルギー、運動(波や海流)エネルギー、位置(潮汐流)エネルギーを発生せしめる。これらのエネルギーがフードチェーン(食物連鎖)を通じて人類固体や社会システムの向上に多大なる貢献をしているのである。海の情緒的資質やエネルギー資質が人々のレクリェーション活動欲求を喚起し、より一層人々が海を訪れる希求性を高めるものとなっている。
 海と老人は決して小説の中のような観念的関わりの場ではない。そこは日常的な生活の場であり、心と肉体をいやし、励ましてくれる実利的関係がすでに成り立っている世界なのである。老人は若者に負けないくらい海へ出かけよう。海は老人を温かく迎えてくれる。砂浜を散策し海の中へ人って海水を浴びよう。砂浜と海水の刺激は皮膚を通して身体内部を活性化してくれるだろう。そして海に向かって深呼吸をしよう。新しい酸素が血液を活性化するだろう。老人と子どもは海へ出かけよう。
 いま、もっとも世界で注目されているのは深層水である。深海千林の水には不思議な妖精が住むという。その妖精はアトピーで悩む子ども達をいやすという。また水の少ない大地に水を潤し植物を助けるという。さらに大きな恵みは無尽蔵で尽きることのないエネルギーをわれわれの社会に与えてくれる。海水の魔法陣は小子・高齢化社会の大きな恵みとなるだろう。みんないっしょに海へ出かけよう。


バリアフリー海水浴場。静穏域を確保するために
防波護岸を設置するとともに海岸プロムナードも整備している

 

 

 

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